宮本百合子 『道標』 「リアリズムと、どうちがうんです?」…

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「リアリズムと何が違うんですか?」
「簡単に言うと、プロレタリア・リアリズムをもっと発展させたってことじゃね?」
「階級が同じだからって、ありきたりなリアリズムで現象をただ並べるんじゃなく、階級が必然的に目指す方向に向かって、摩擦や葛藤がありながらも積極的に動いていく、その動きや目指す方向を描くってことだろ」
「そんな感じかな」
「例えば今日の『装甲列車』とか。あれって自然だし、現実的でしょ?パルチザンのリーダーが農民の中から出てくる経緯ってー指揮者が外から来ないときにーリアリズムを徹底すれば、おのずとそうなるんじゃないの?そもそも些末なことにこだわるのはリアリズムじゃないよ」
「今のソ連では、推進力のあるスローガンとして、弁証法的方法っていうのがあるみたいですね」
「全体としては、当然リアリズムを積極的に具体的なものにしていこうとしてるんだろうけど」
「吉見さん、結構論客ですね」
「僕は、佐々さんのほうが議論好きかと思ってたよ」
「ほんとだ」
「ぶっこちゃん、どうしたの?」
「私?」
「ーつまり、そういうことよ」

原文 (会話文抽出)

「リアリズムと、どうちがうんです?」
「要するにプロレタリア・リアリズムを一歩押しすすめたもんじゃないですか」
「同じ階級的立場に立っても平板なリアリズムで片っぱしから現象を描いて行くんではなくって、階級の必然に向って摩擦しながらも積極的に発展的に動いてゆく、その動きの姿と方向で描こうというんではないですか」
「そういうもんかな」
「たとえば今夜の『装甲列車』ですがね。ああいうのが、自然だし、また現実でしょう? パルチザンの指導者が、農民自身の中から出て来るいきさつっていうものは――天下りの指揮者がないときに――だから、リアリズムがとことんまで徹底すれば、おのずから、あすこへ行く筈じゃないんですか。どだい、些末主義なんか、リアリズムじゃありませんよ」
「今日のソヴェトでは、一つの推進的標語として、弁証法的方法、ということが云われていると理解していいんでしょうね」
「大局では、もちろん、リアリズムを発展的に具体化しようとしているにほかならないでしょうがね」
「吉見さん、あなた、なかなか論客なんですね」
「わたしは、これまで、佐々さんの方が、議論ずきなのかと思っていましたよ」
「ほんとうだ」
「ぶこちゃん、どうしたのさ」
「わたし?」
「――つまり、こうなのよ」

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