夏目漱石 『それから』 「君、僕の寐てゐるうちに、誰か来やしなかつ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『それから』

現代語化

「おい、俺が寝てる間に、誰か来なかった?」
「うん、来たよ。平岡さんの奥さん。よく知ってるでしょ」
「なんで起こさなかったの?」
「よく寝てたからさ」
「でも客なら起こさなきゃダメじゃん」
「でもさ、平岡さんの奥さんが、起こさないでって言ったんだよ」
「それで、奥さんはもう帰ったの?」
「なに帰ったわけじゃないんだ。ちょっと神楽坂で買い物があるから、終わったらまた来るって」
「じゃあまた来るんだね」
「そうなんだよね。本当は先生が起きるまで待とうかって、こっちの部屋まで来たんだけど、先生の顔を見たら、すごく気持ちよく寝てるから、これは簡単には起きなそうだなって思ったみたい」
「また出かけていったの?」
「うん、そういうこと」

原文 (会話文抽出)

「君、僕の寐てゐるうちに、誰か来やしなかつたかね」
「えゝ、御出でした。平岡の奥さんが。よく御存じですな」
「何故起さなかつたんだ」
「余まり能く御休でしたからな」
「だつて御客なら仕方がないぢやないか」
「ですがな。平岡の奥さんの方で、起さない方が好いつて、仰しやつたもんですからな」
「それで、奥さんは帰つて仕舞つたのか」
「なに帰つて仕舞つたと云ふ訳でもないんです。一寸神楽坂に買物があるから、それを済まして又来るからつて、云はれるもんですからな」
「ぢや又来るんだね」
「さうです。実は御目覚になる迄待つてゐやうかつて、此座敷迄上つて来られたんですが、先生の顔を見て、あんまり善く寐てゐるもんだから、こいつは、容易に起きさうもないと思つたんでせう」
「また出て行つたのかい」
「えゝ、まあ左うです」


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