太宰治 『斜陽』 「じゃ、失敬」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『斜陽』

現代語化

「じゃ、失礼」
「上原さん、あそこね、上原さん、あそこね、「あああ」ってところですがね、あれは、どうやって言ったらいいんですか? ああ、ああ、ああ、ですか? ああ、ああ、ですか?」
「ああ、ああ、だ。ああ、ああ、チドリの酒は、安くねえ、みたいな感じだよ」
「お金のことばっかり」
「二羽の雀が一銭、ってのは、高いですか? 安いですか?」
「一厘も残さず償わなければ、って言葉もあるし、ある人には五タラント、ある人には二タラント、ある人には一タラントなんて、すごくややこしいたとえ話もあるし、キリストも算数ばっかりしてるみたいだね」
「それに、あいつは酒好きだったよ。不思議とバイブルには酒の話が多いと思ってたら、案の定、うーん、酒を好む人よ、って非難されてたよ。酒飲む人じゃなくて、酒を好む人って言ってるから、かなりの飲み助だったんだろ。最低でも一升は飲んだと思うよ」
「やめ、やめ。ああ、あ、お前らは道徳に怯えて、イエスを利用しようとしてる。チエちゃん、飲もう。ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ」

原文 (会話文抽出)

「じゃ、失敬」
「上原さん、あそこのね、上原さん、あそこのね、あああ、というところですがね、あれは、どんな工合いに言ったらいいんですか? あ、あ、あ、ですか? ああ、あ、ですか?」
「ああ、あ、だ。ああ、あ、チドリの酒は、安くねえ、といったような塩梅だね」
「お金の事ばっかり」
「二羽の雀は一銭、とは、ありゃ高いんですか? 安いんですか?」
「一厘も残りなく償わずば、という言葉もあるし、或者には五タラント、或者には二タラント、或者には一タラントなんて、ひどくややこしい譬話もあるし、キリストも勘定はなかなかこまかいんだ」
「それに、あいつあ酒飲みだったよ。妙にバイブルには酒の譬話が多いと思っていたら、果せるかなだ、視よ、酒を好む人、と非難されたとバイブルに録されてある。酒を飲む人でなくて、酒を好む人というんだから、相当な飲み手だったに違いねえのさ。まず、一升飲みかね」
「よせ、よせ。ああ、あ、汝らは道徳におびえて、イエスをダシに使わんとす。チエちゃん、飲もう。ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ」


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