島崎藤村 『夜明け前』 「半蔵さん、これはなんという事です。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「半蔵さん、これってどういうことなんですか?」
「見てよ」
「東山道軍の執事からあの知らせが届くまでは、誰も偽官軍なんて言わなかったでしょ。福島の関所だって黙って通したわけじゃないですか。奉行から用人までお出迎えしたのに、今になって俺たちを責めるって、どういうことなんでしょうか」
「だから、びっくりしてるんですよ」
「これにはいろいろとわけがあるんでしょうね」
「俺もそう思う。あの相良惣三の仲間が江戸の方でかなり暴れてるらしいですからね。そいつが諏訪にも、小諸にも、木曾福島にも響いてると思うんです。そこへ東山道軍の執事からあの知らせでしょ、こりゃ江戸の敵を、飛んだところで討伐するようなことになったわけですよ」
「世の中はまだ大変だなあ」
「まあ、景蔵さん、蕎麦でも食べながら話しましょう」
「君は俺たちを気にせず、先に食べてよ。そんなに話に夢中だと、せっかくの蕎麦が伸びちゃう。でも、今日は、いい時に会えましたね」
「いや、俺も君に会えてよかったよ」
「のおかげで、福島の状況もわかりましたし」

原文 (会話文抽出)

「半蔵さん、これはなんという事です。」
「見たまえ。」
「東山道軍の執事からあの通知が行くまでは、だれだって偽官軍だなんて言うものはなかった。福島の関所だって黙って通したじゃありませんか。奉行から用人まで迎えに出て置いて、今になってわれわれをとがめるとは何の事でしょう。」
「ですから、驚きますよ。」
「これにはかなり複雑な心持ちが働いていましょう。」
「わたしもそれは思う。なにしろ、あの相良惣三の仲間は江戸の方でかなりあばれていますからね。あいつが諏訪にも、小諸にも、木曾福島にも響いて来てると思うんです。そこへ東山道軍の執事からあの通知でしょう、こりゃ江戸の敵を、飛んだところで打つようなことが起こって来た。」
「世の中はまだ暗い。」
「まあ、景蔵さん、蕎麦でもやりながら話そうじゃありませんか。」
「君はわたしたちにかまわないで、先に食べてください。そんなに話に身が入っては、せっかくの蕎麦も延びてしまう。でも、きょうは、よいところでお目にかかった。」
「いや、わたしも君にあえてよかった。」
「おかげで、福島の方の様子もわかりました。」


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