島崎藤村 『夜明け前』 「いやらし、いやらし」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「やべーな、やべーな」
「さぞかし鉄胤さんも安心でしょうな」
「いやだって、王政復古とかでごたごたしてるときに、70キロも離れたところまで運び出すんだぜ?」
「そいつは、なかなか」
「おれが江戸に出たとき、平田家でも話し合ってるところだったんだ。江戸も大騒ぎだよ。すぐに見舞いに行って、保管を申し出たら、めちゃくちゃ喜んでくれた。道中が心配だから、お守りみたいなやつは京都の神様のとこからもらってきた。それを荷物の周りに付けたり、自分で引っ張ったりして、いっぱい原稿とか資料を馬で運んだわけよ。去年12月18日に座光寺に着いたんだけど、あの時は北原稲雄も俺の手を握って喜んでた。田島の前に住んでた万里さんとか今村さんとかも心配して、旅費とかも出してくれた仲間なんだ」

原文 (会話文抽出)

「いやらし、いやらし」
「さぞ老先生(鉄胤のこと)も御安心でございましょう。」
「なにしろ、王政復古の日が来たばかりのごたごたした中で、七十何里もあるところに運搬しようというんですから。」
「そいつは、なかなか。」
「いや、」
「わたしが江戸へ出ました時は、平田家でも評議の最中でした。江戸も騒がしゅうございましたよ。早速、お見舞いを申し上げて、それから保管方を申し出ましたところ、大変によろこんでくださいました。道中が心配になりましたから、護りの御符は白河家(京都神祇伯)からもらい受けました。それを荷物に付けるやら、自分で宰領をするやらして、たくさんな稿本や書類を馬で運搬したわけなんです。昨年、十二月の十八日に座光寺へ着きましたが、あの時は北原稲雄もわたしの手を執ってよろこびました。田島の前沢万里、今村豊三郎、いずれもこの事には心配して、路用なぞを出し合った仲間です。」


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