島崎藤村 『夜明け前』 「どうでしょう、尊攘ということもあの水戸の…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「尊攘ってのも、水戸の人たちであんまやらなくなるんじゃね?」
「でも、景蔵さん。」
「亀山嘉治とかは、そう思ってないみたいだよ。」
「亀山は亀山、俺たちは俺たちだろ。」
「景蔵さんの意見って、京都で実際に生活してるから出るんだと思う。」
「でも、長州藩とかは伊藤俊助とか井上聞多とかいう奴らイギリスに送ってるぜ。去年の話だぜ。あれって攘夷派の長州藩がやったんだぜ。」
「世の中が変わってきたな。」
「俺に言わせりゃ、今でも尊攘って大々的に叫んでる奴らは水戸だけだぜ。そこが水戸の正直なところでもあるけどな。」

原文 (会話文抽出)

「どうでしょう、尊攘ということもあの水戸の人たちを最後とするんじゃありますまいか。」
「しかし、景蔵さん。」
「あの亀山嘉治なぞは、そうは考えていませんぜ。」
「亀山は亀山、われわれはわれわれですさ。」
「そういう景蔵さんの意見は、実際の京都生活から来てる。どうもわたしはそう思う。」
「そんなら見たまえ、長州藩あたりじゃ伊藤俊助だの井上聞多だのという人たちをイギリスへ送っていますぜ。それが君、去年あたりのことですぜ。あの人たちの密航は、あれはなかなか意味が深いといううわさです。攘夷派の筆頭として知られた長州藩の人たちがそれですもの。」
「世の中も変わって来ましたな。」
「まあ、わたしに言わせると、尊攘ということを今だにまっ向から振りかざしているのは、水戸ばかりじゃないでしょうか。そこがあの人たちの実に正直なところでもありますがね。」


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