島崎藤村 『夜明け前』 「何しろ、これはえらい騒ぎになった。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「とにかく、大騒ぎになったよ」
「文久元年10月の和宮様のお通り以来だ。1000人以上の行列をこんな小さな宿場で引き受けるんだから」
「お父さん、その件は、落合の宿でも分けて引き受けると言ってます」
「今夜の宿泊客には、お年寄りもいるんだって」
「その話ですが、山国兵部って人はもう70歳以上だそうです。武田耕雲斎、田丸稲右衛門、この2人も60歳を越えてるそうですよ」
「そう聞いた。6、70歳になって、もう後戻りできないと考えてみてごらん。命がけとは言うものの――すごい話だよ」
「今回は東湖先生の息子さんもご一緒です。この藤田小四郎って人はまだ若い。23、4で隊長だっていうから驚きじゃないですか」
「ものすごく早熟な方みたいだね」
「お父さん、僕の考えでは、浪士が若い人ばかりだったら、京都まで行こうとしなかったでしょう。水戸の城下で討死する覚悟だったと思います」
「それは、半蔵。お年寄りばかりなら、最初から筑波山には立てこもらなかったよ」
「武田伊賀守様御宿」

原文 (会話文抽出)

「何しろ、これはえらい騒ぎになった。」
「文久元年十月の和宮さまがお通り以来だぞ。千何百人からの同勢をこんな宿場で引き受けようもあるまい。」
「お父さん、そのことなら、落合の宿でも分けて引き受けると言っています。」
「今夜のお客さまの中には、御老人もあるそうだね。」
「その話ですが、山国兵部という人はもう七十以上だそうです。武田耕雲斎、田丸稲右衛門、この二人も六十を越してると言いますよ。」
「おれも聞いた。人が六、七十にもなって、全く後方を振り返ることもできないと考えてごらんな。生命がけとは言いながら――えらい話だぞ。」
「今度は東湖先生の御子息さんも御一緒です。この藤田小四郎という人はまだ若い。二十三、四で一方の大将だというから驚くじゃありませんか。」
「おそろしく早熟なかただと見えるな。」
「まあ、お父さん。わたしに言わせると、浪士も若いものばかりでしたら、京都まで行こうとしますまい。水戸の城下の方で討死の覚悟をするだろうと思いますね。」
「そりゃ、半蔵。老人ばかりなら、最初から筑波山には立てこもるまいよ。」
「武田伊賀守様御宿」


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