島崎藤村 『夜明け前』 「およそやかましいと言っても、こんなやかま…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「うるさいって言っても、こんなにうるさいお通りにぶつかったのは初めてです」
「半蔵さん、脇本陣の桝田屋に来た別当が何て言ったと思います?「御召馬ってなんだ」って。そう言ったんですって。桝田屋の小左衛門さんもビックリして、公家様の乗る馬で悪かったらどう言えばいいですかって聞いたんだそうです。そしたら別当が「御召御馬って言いなさい。それからこの御召御馬は焼酎を一升飲むから、そう覚えとけ」って言ったんですって」
「半蔵さん、それだけで済むならまだいい。なんでかその別当は機嫌が悪くて、小左衛門さんが返事をモタモタしたら、突然その御召御馬を土足のまま桝田屋の床の間に引き上げたんだって。すごい話でしょ。ホント踏んだり蹴ったりです」
「京都の敵をこの宿場まで来て打たれるなんて、たまったもんじゃないですね」

原文 (会話文抽出)

「およそやかましいと言っても、こんなやかましい御通行にぶつかったのは初めてです。」
「半蔵さん、脇本陣の桝田屋へ来て休んで行った別当はなんと言ったと思います。御召馬とはなんだ。そういうことを言うんですよ。桝田屋の小左衛門さんもそれには震えてしまって、公方様の御召馬で悪ければ、そんならなんと申し上げればよいのですかと伺いを立てたそうです。その時の別当の言い草がいい――御召御馬と言え、それからこの御召御馬は焼酎を一升飲むから、そう心得ろですとさ。」
「半蔵さん、それだけで済むならまだいい。どうしてあの別当は機嫌を悪くしていて、小左衛門さんの方で返事をぐずぐずしたら、いきなりその御召御馬を土足のまま桝田屋の床の間に引き揚げたそうですよ。えらい話じゃありませんか。実に、踏んだり蹴ったりです。」
「京都の敵をこの宿場へ来て打たれちゃ、たまりませんね。」


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