GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』
現代語化
「勝重くんに相談したいことがあるんだ。馬籠を出る時、清助さんに止められたんだよね。「若い人を一緒に参籠に連れて行かれますか」って。それでも君は来たいって言うから。今の禰宜さんも「ちょっと無理でしょう」って言ってるよ」
「どうしてですか」
「だって、お宮に行ったら祈祷しかないんだよ。あとは全く静かにしてなきゃいけない。寒さやお腹が減るのにも耐えなきゃいけない修行の場なんだよ。それでも、僕にはここで叶えたいことがあるんだ。君とは違うんだ」
「じゃあ、先生はあなたのお父さんのために祈ればいいし、僕は先生ののために祈りましょう」
「困ったな。それなら、君の好きなようにすればいいよ。疲れたら禰宜さんの家に帰って寝てね。ここはお山のルールがあって、里と同じじゃないんだ。無理しないでね」
原文 (会話文抽出)
「お師匠さま。」
「勝重さん、君に相談がある。馬籠を出る時にわたしは清助さんに止められた。君のような若い人を一緒に参籠に連れて行かれますかッて。それでも君は来たいと言うんだから。見たまえ、ここの禰宜さまだって、すこし無理でしょうッて、そう言っていますぜ。」
「どうしてですか。」
「どうしてッて、君、お宮の方へ行けば祈祷だけしかないよ。そのほかは一切沈黙だよ。寒さ饑じさに耐える行者の行くところだよ。それでも、君、わたしにはここへ来て果たしたいと思うことがある。君とわたしとは違うサ。」
「そんなら、お師匠さま、あなたはお父さんのためにお祷りなさるがいいし、わたしはお師匠さまのために祷りましょう。」
「弱った。そういうことなら、君の自由に任せる。まあ、眠りたいと思う時はこの禰宜さまの家へ帰って寝てくれたまえ。ここにはお山の法則があって、なかなか里の方で思ったようなものじゃない。いいかい、君、無理をしないでくれたまえよ。」