島崎藤村 『夜明け前』 「半蔵さん、攘夷なんていうことは、君の話に…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「半蔵さん、攘夷ってのは、君がよく言う『漢ごころ』ですよね。外国を野蛮の国だと思ってむやみに敵視するのは、結局中国から教わったことなんじゃないですか」
「寿平次さん、偉いこと言うじゃないすか」
「そりゃあ、今の外国は昔の野蛮な国とは違いますよ。貿易も、交通も、世界の流れで、仕方がないんすよ。俺たちはもっと考えなくちゃいけない。国を開いていかなくちゃ」
「ああああ、変な流行だなあ」
「何かとなると、すぐ攘夷だ。半蔵さん。君の仲間は今の攘夷ブームをどう思ってんすか」
「流行なんて、寿平次さんみたいに軽くは考えてませんよ。お前だってこの時代の変化に悩んでんだろ。金はどんどん価値下がって、物価は上がって、みんな生活苦しい――これが開港した結果だとしたら、こんな排外主義が流行るのも無理はないんじゃねえっすか」

原文 (会話文抽出)

「半蔵さん、攘夷なんていうことは、君の話によく出る『漢ごころ』ですよ。外国を夷狄の国と考えてむやみに排斥するのは、やっぱり唐土から教わったことじゃありませんか。」
「寿平次さんはなかなかえらいことを言う。」
「そりゃ君、今日の外国は昔の夷狄の国とは違う。貿易も、交通も、世界の大勢で、やむを得ませんさ。わたしたちはもっとよく考えて、国を開いて行きたい。」
「あゝあゝ、変な流行だなあ。」
「なんぞというと、すぐに攘夷をかつぎ出す。半蔵さん。君のお仲間は今日流行の攘夷をどう思いますかさ。」
「流行なんて、そんな寿平次さんのように軽くは考えませんよ。君だってもこの社会の変動には悩んでいるんでしょう。良い小判はさらって行かれる、物価は高くなる、みんなの生活は苦しくなる――これが開港の結果だとすると、こんな排外熱の起こって来るのは無理もないじゃありませんか。」


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