GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』
現代語化
「誰に言ってるんですか」
「俺か。誰もご苦労さんって言ってくれねえから、自分で自分に言ってるだけ」
「でも、世の中って変だよな。名古屋の殿様のために、台所のお世話でもすれば、苗字帯刀御免ってことになる。30年もこの街道の世話をしても、誰もご苦労さんって言ってくれねえ。俺にとっては、目に見えない街道の世話の方がよっぽど大変だったのに」
原文 (会話文抽出)
「しかし、御苦労、御苦労。」
「あなたはだれに言っていらっしゃるの。」
「おれか。だれも御苦労とも言ってくれるものがないから、おれは自分で自分に言ってるところさ。」
「でも、世の中は妙なものじゃないか。名古屋の殿様のために、お勝手向きのお世話でもしてあげれば、苗字帯刀御免ということになる。三十年この街道の世話をしても、だれも御苦労とも言い手がない。このおれにとっては、目に見えない街道の世話の方がどれほど骨が折れたか知れないがなあ。」