三遊亭圓朝 『名人長二』 「恐入りました」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「恐縮しました」
「それだけでなく、2人は半右衞門の病中に柳の内密の依頼を受けて、この玄石に半右衞門を殺害するよう頼んだのだろう、玄石はすべて白状したぞ、間違いなかろうな、どうだ、恐縮したか」
「恐縮しました」
「長二郎、お前が龜甲屋半右衞門の実子であることが明らかになった以上、お前が先月9日の夜、柳島押上堤で幸兵衛と柳の両人を殺害したのは、10年前にその2人によって無残に亡き者にされた実父半右衞門の敵討ちだったわけだな、孝心のほどは特に奇特なものとしてお褒めに預かり、金10貫文の褒美を下されるぞ、ありがたく思え、また半右衞門の跡目を相続することとし、手代萬助はお前が永の暇を申し付けてよい」
「はい、恐れながら申し上げます、どういうお情けかわかりませんが、あまりにひいきしたお裁きかと存じます、なるほど幸兵衛は親の敵でしょうが、ご新造は長二郎の母親に間違いありませんから、親殺しの処刑になるものと思っておりましたが、褒美をくださるとはどうも納得のいかないお裁きかと存じます」
「ふむ、よく疑問に気が付いたが、ひいきしたお裁きとは不届きな申分だ、お前はこのような裁判が奉行一存の計らいで決まると思うのか、1人の者が処刑される時は、老中方の評議にかかって上様に伺い、上様の思召により裁許された上で、老中方の印文が据えられないうちは処刑はされないぞ、お前は公儀のお役目を勤めていた龜甲屋の番頭でありながら、そのことを心得ていないのか、不束者めが」

原文 (会話文抽出)

「恐入りました」
「それのみならず、両人は半右衞門の病中柳の内意を受け、是れなる玄石に半右衞門を殺害する事を頼んだであろう、玄石が残らず白状に及んだぞ、それに相違あるまいな、何うじゃ、恐入ったか」
「恐入りました」
「長二郎、其の方は龜甲屋半右衞門の実子なること明白に相分りし上は、其の方が先月九日の夜、柳島押上堤において幸兵衞、柳の両人を殺害いたしたのは、十ヶ年前右両人のため、非業に相果てたる実父半右衞門の敵を討ったのであるぞ、孝心の段上にも奇特に思召し、青差拾貫文御褒美下し置かるゝ有難く心得ませい、且半右衞門の跡目相続の上、手代萬助は其の方において永の暇申付けて宜かろう」
「へい、恐れながら申上げます、何ういう贔屓か存じませんが余り依估の御沙汰かと存じます、成程幸兵衞は親の敵でもござりましょうが、御新造は長二郎の母に相違ござりませんから、親殺しのお処刑に相成るものと心得ますに、御褒美を下さりますとは、一円合点のまいりませぬ御裁判かと存じます」
「フム、よう不審に心付いたが、依估の沙汰とは不埓な申分じゃ、其の方斯様な裁判が奉行一存の計いに相成ると存じ居るか、一人の者お処刑に相成る時は、老中方の御評議に相成り上様へ伺い上様の思召をもって御裁許の上、老中方の御印文が据らぬうちはお処刑には相成らぬぞ、其の方公儀の御用を相勤め居った龜甲屋の手代をいたしながら、其の儀相心得居らぬか、不束者めが」


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