三遊亭圓朝 『名人長二』 「お尋ねになりました木具職の長二郎と申しま…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「お尋ねになりました指物師の長二郎と申す者は、親御さんがおっしゃる通り、江戸で一番の名人で、その方が作った品物は100年経っても狂いが生じず、またどんなに乱暴に扱っても壊れないとのことです、そういう名工なのでたくさん手間代を取りますが、衣類などは非常に質素で、悪遊びをせず、正直な貧しい人を憐れんで助けることを楽しみにしていますので、女房があると好きなだけお金を人に施すことができないと言って、独身でいらっしゃいますほどの人で、職人には珍しい心掛けで、その気性の清廉潔白さには親御さんも感心しておられます」
「ふむ、それでは普通の職人がしょっちゅう喧嘩口論をして、お互いに怪我をさせたりするような粗暴な人物ではないのか」
「その通りでございます、そのような心掛けでは無益な喧嘩口論などは決してしないと思われます、特に日本酒は一滴も召し上がらないとのことですから、過ちなどはなさらないと存じますが、さっき申し上げた通り清廉潔白な気性ですから、他人から屈辱を受けた場合には、その屈辱を晴らすまでは、自分の命を投げ出しても最後まで意地を通すという信念が固い方なのではないかと思われます」
「ふむそうか、お前の見る目は高い……長二郎はそういう男だろうが、同人の親たちはどういう者かお前は知らないのか」
「まったく存じません」
「それなら誰か長二郎の素性やその親たちの身の上を知っている者はいないか、お前は知らないのか」
「お上様、その長二郎という者のことをお尋ねになって、どのようにお考えなのでございますか」
「何だ、その長二郎という者は役者のように美しい男だということなので、島路が懸想でもしているなら、私が助七に話をして夫婦にしてやろうと思ったのだ」

原文 (会話文抽出)

「お尋ねになりました木具職の長二郎と申します者は、親共が申上げました通り、江戸一番の名人と申す事で、其の者の造りました品は百年経っても狂いが出ませず、又何程粗暴に取扱いましても毀れる事がないと申すことでございます、左様な名人で多分な手間料を取りますが、衣類などは極々質素で、悪遊びをいたさず、正直な貧乏人を憐れんで救助するのを楽みにいたしますに就ては、女房があっては思うまゝに金銭を人に施すことが出来まいと申して、独身で居ります程の者で、職人には珍らしい心掛で、其の気性の潔白なのには親共も感心いたして居ります」
「フム、それでは普通の職人が動ともすると喧嘩口論をいたして、互に疵をつけたりするような粗暴な人物じゃないの」
「左様でございます、あゝいう心掛では無益な喧嘩口論などは決して致しますまいと存じます、殊に御酒は一滴も戴きませんと申す事でございますゆえ、過ちなどは無いことゝ存じますが、只今申上げました通り潔白な気性でございますゆえ、他から恥辱でも受けました節は、その恥辱を雪ぐまでは、一命を捨てゝも飽くまで意地を張るという性根の確かりいたした者かとも存じます」
「ムヽ左様じゃ、其方の目は高い……長二郎は左様いう男だろうが、同人の親達は何ういう者か其方は知らんか」
「一向に存じません」
「そんなら誰か長二郎の素性や其の親達の身の上を存じて居る者はないか、其方は知らんか」
「御前様、その長二郎とか申す者のことをお聞き遊ばして、如何遊ばすのでござります」
「何サ、その長二郎と申す者は役者のような美い男じゃによって、島路が懸想でもして居るなら、身が助七に申聞けて夫婦にしてやろうと思うたのじゃ」


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