三遊亭圓朝 『名人長二』 「あれまア危ないからおよしよ、怪我をさせて…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「危ないからやめろよ、ケガさせたらまずいからさ兼松……早く止めてくれ」
「まあ待ってくれ、そんなもので投げると大変だ」
「なんだこの野郎、ふざけてるのか、このハンマーで棚を壊したから、この野郎の頭をハンマーでぶっ潰してやる」
「恒、まあ待て、やめろ、投げ捨てろ」
「だってこうやって壊されちゃ、明日鹿島さんに納められない」
「まあ俺が言い訳するから大丈夫だ」
「どこも痛くないか、ごめんね」
「はい、ありがとうございます」
「これ長二、俺の作った棚を壊したな、お前もだいぶ腕が上がったな、俺の仕事に難癖つけるなんて感心だ、どこが気に入らないか、理由を全部言ってみろ」
「はい、言うなら言いますが、この広い江戸で清兵衛と言えば知らない人はいない指物師の名人ですが、それはもう20年も前の話です、もう60も過ぎて目が利かなくなり、根気もなくなって、最近は板削りまで職人に任せているから、艶がなくなり仕事が雑になっています、私が弟子に入った頃は釘一本他人に任せず、夜遅くまで自分で削って、心を込めて打っていたから、100年経っても合口が緩むことはなかったですが、今はこんな出来損ないの恒兄に削らせた釘を使っているから、こんな具合でみっともないのです、ははは」
「おい兄貴どうしたんだ、いい加減にしろ」
「ハンマーで2、3回叩いて壊れるようなものが道具になるか、もういい歳なんだから、ボケちゃだめだ」

原文 (会話文抽出)

「あれまア危ないからおよしよ、怪我をさせては悪いからサ兼松……速く留めておくれ」
「まアお待ちなせえ、其様な物で擲っちア大変だ」
「なに此の野郎、ふざけて居やがる、此の才槌で棚を毀したから己が此の野郎の頭を打毀してやるんだ」
「恒マア待て、よしねえ、打棄っておけ」
「それだッて此様に毀してしまっちゃア、明日鹿島さんへ納める事が出来ねえ」
「まア己が言訳をするから宜いというに」
「何処も痛みはしないか、堪忍おしよ」
「へい、有がとうがす」
「これ長二手前能く吾の拵えた棚を毀したな、手前は大層上手になった、己の仕事に嘘があるとは感心だ、何処に嘘があるか手前の気の付いた所を一々其処で云って見ろ」
「へい、云えというなら云いますが、此の広い江戸で清兵衞と云やア知らねえ者のねえ指物師の名人だが、それア二十年も前のことだ、もう六十を越して眼も利かなくなり、根気も脱けて、此の頃ア板削まで職人にさせるから、艶が無くなって何処となしに仕事が粗びて、見られた状アねえ、私が弟子に来た時分は釘一本他手にかけず、自分で夜延に削って、精神を入れて打ちなさったから百年経っても合口の放れッこは無かったが、今じゃア此のからッぺたの恒兄に削らせた釘を打ちなさるから、此ん通りで状ア無い、アハヽヽ」
「おい兄い何うしたんだ、大概にしねえ」
「才槌で二つや三つ擲って毀れるような物が道具になるか、大概知れた事た、耄碌しちゃア駄目だ」


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