GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』
現代語化
「そうだ、着物はいいもの着てるよね」
「でも、味のない顔だな。笑わないし」
「具合が悪かったから仕方ないよ」
「そうなんだろうけど、そもそも桐の糸柾みたいな顔立ちで、綺麗だけど面白みがない。旦那さんは立派でいい感じだから、桑の白質まじりっていうんだ」
「いい見立てだね」
「兄ちゃんも俺を見立てて」
「なんだ?」
「兄ちゃんは杉の粗理だな」
「なぜ?」
「なぜって、嫌味なくてさっぱりしてて、長く付き合うほど良くなるからだよ」
「そうなら兼、お前は檜の生節だな」
「ありがたい。幅があって匂いがいいってことか?」
「いや、時々ポンと抜けることがあるっていうのよ」
「人を馬鹿にするなよ。いつも考えてやるとそういうことがあるんだよ。おや、弁当を置いて行ったぞ。平清のお土産とは気が利いてるな。一杯飲めるぜ」
「ばか言うなよ。忘れて行ったなら届けなきゃ悪いよ」
「なに忘れたんじゃないよ。ほら見て。魚肉が入ってる弁当にわざわざ熨斗が挿してあるから、進上ってことに決まってるだろ。独身で不自由なところを察して持って来たんだ。いい旦那だよ…何が入ってるのかな」
「だめだよ。取りに来ると困るから」
「心配ないって。そんなケチな旦那じゃないよ。もし取りに来たら俺が食べてしまった言えば兄ちゃんも食べないんだから。一合買って来るから」
原文 (会話文抽出)
「兄い……ちっと婆さんだが好い女だなア」
「そうだ、装も立派だのう」
「だが、旨味の無え顔だ、笑いもしねいでの」
「塩梅がわるかったのだから仕方がねえ」
「左様だろうけれども、一体が桐の糸柾という顔立だ、綺麗ばかりで面白味が無え、旦那の方は立派で気が利いてるから、桑の白質まじりというのだ」
「巧く見立てたなア」
「兄いも己が見立てた」
「何と」
「兄いは杉の粗理だなア」
「何故」
「何故って厭味なしでさっぱりしていて、長く付合うほど好くなるからさ」
「そんなら兼、手前は檜の生節かな」
「有難え、幅があって匂いが好いというのか」
「いゝや、時々ポンと抜けることがあるというのよ」
「人を馬鹿にするなア、毎でもしめえにア其様な事だ、おやア折を置いて行ったぜ、平清のお土産とは気が利いてる、一杯飲めるぜ」
「馬鹿アいうなよ、忘れて行ったのなら届けなけりゃアわりいよ」
「なに忘れてッたのじゃア無え、コウ見ねえ、魚肉の入ってる折にわざ/\熨斗が挿んであるから、進上というのに違いねえ、独身もので不自由というところを察して持って来たんだ、行届いた旦那だ………何が入ってるか」
「コウよしねえ、取りに来ると困るからよ」
「心配しなさんな、そんな吝な旦那じゃア無え、もしか取りに来たら己が喰っちまったというから兄いも喰いねえ、一合買って来るから」