GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』
現代語化
「それはわかってますけど、女ってケチで、お嬢さんのように施しを褒めてくれる女はいないんです」
「ふーん、女ってのは教育がないから、仁だの義だのってことはわからないもんだな。この娘なんかはいい人に嫁がせようと思って、先生を家に呼んで、読書から芸事までいろいろ習わせたから、一応道理がわかるようになったけど、お金がかかるから普通の家ではそこまで教育できないよな。それに女ってのは嫁入りって大金がかかるからな。物入りと言えば、娘もそのうちどこかへ嫁に行かせることになるけど、その時の箪笥と用箪笥を親方にお願いしたいんです。いい木を見つけてください」
「わかりました。そういえばこの間、職人の兼っていう奴が、ノミで足の親指を切って化膿してそうで、すごく痛いって言ってるんですよ。相州の湯河原って温泉がいいって聞いたので、湯治に行かせようと思うんですけど、病気の人を一人で行かせるわけにもいかないし、私の方も子供のときに怪我した背中の古傷が暑さ寒さで痛むので、一緒に行ってついでに湯治しようと思っていて。お急ぎなら難しいんですが」
「いや、今すぐに必要ではないんです。礼儀を覚えさせるために来月お出入りの筒井様のお屋敷にお手伝いに行かせるつもりなので、娘が下がるまでによければそれでいいんです」
「じゃ、作りますよ」
「湯河原は打撲とか切り傷にいいみたいだから、ゆっくり湯治してくださいよ。そうそう、この仏壇の代金いくらにします?」
「別に特別な注文で、お望み通りに作ったので、思ったより手間がかかりましたが…100両で結構です」
原文 (会話文抽出)
「親方の施し道楽は至極結構だが、女房を持たないと活計向に損がありますから、早く良いのをお貰いなさい」
「そりゃア知っていますが、女という奴ア吝なもんで、お嬢さんのように施しを褒めてくれる女はございませんから持たないんです」
「フム左様さ、女には教えがないから、仁だの義だのという事は分らないのは道理だ、此の娘なぞは良い所へ嫁に遣ろうと思って、師匠を家へ呼んで、読書から諸芸を仕込んだのだから、兎も角も理非の弁別がつくようになったんだが、随分金がかゝるから大抵の家では女にまでは行届きません、それに女という奴は嫁入りという大物入がありますからなア、物入と云やア娘も其の内何処かへ嫁に遣らなければなりませんが、其の時の箪笥三重と用箪笥を親方に願いたい、何卒心懸けて木の良いのを見付けてください」
「畏まりましたが、先達て職人の兼という奴が、鑿で足の拇指を突切った傷が破傷風にでもなりそうで、甚く痛むと云いますから、相州の湯河原へ湯治にやろうと思いますが、病人を一人遣る訳にもいきませんから、私も幼さい時怪我をした背中の旧傷が暑さ寒さに悩みますので、一緒に行って序でに湯治をして来ようと思いますので、お急ぎではどうも」
「いゝや今が今というのではありません、行儀を覚えさせるため来月お出入邸の筒井様の奥へ御奉公にあげる積りですから、娘が下るまでゞ宜いんです」
「そんなら拵えましょう」
「湯河原は打撲と金瘡には能いというから、緩り湯治をなさるが宜い、就てはこの仏壇の作料を上げましょう、幾許あげたらよいね」
「左様……別段の御注文でしたから思召に適うように拵えましたので、思ったより手間がかゝりましたが……百両で宜うございます」