三遊亭圓朝 『名人長二』 「時に親方、つかん事を聞くようだが、先頃尋…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「ところでさ、親方、あれ聞いていいの? 前に来た時に台所にいたのって親方の母親ですか?」
「いや、オレの母親は17の時に死んでる。あれはお手伝いの婆さんです」
「じゃ、まだ結婚してないんですか?」
「はい、嫁がいると金のことばかり言って仕事の邪魔になるので、いないんです」
「親方みたいに稼げるんなら、お金に困らないでしょ」
「お金は稼ぐけど、持ってることができない性分なんです」
「職人ってそんなもんなのかな? 親方って何か趣味があるんですか?」
「趣味ってのはないんですけど、ただ真面目な人で、貧乏してる人を見るとかわいそうになっちゃって、お金あげたくなっちゃうんです」
「ふーん、いい病気だな…面白い趣味だけど、貧乏人にあげすぎると逆にその人のためにならないことがあるから、気をつけてくださいよ」
「それくらいはわかってますよ。その人の身分に合わせてあげないと、贅沢しちゃいます」
「感心だ…名人になる人はやっぱり違うな、お島」
「そうなんです。本当にいい人なんです」

原文 (会話文抽出)

「時に親方、つかん事を聞くようだが、先頃尋ねた折台所にいたのは親方のお母さんかね」
「いゝえ、お母は私が十七の時死にました、あれは飯焚の雇い婆さんです」
「そんなら未だ家内は持たないのかね」
「はい、嚊があると銭のことばかり云って仕事の邪魔になっていけませんから持たないんです」
「親方のように稼げば、銭に困ることはあるまいに」
「銭は随分取りますが、持っている事が出来ない性分ですから」
「職人衆は皆な然うしたものだが、親方は何が道楽だね」
「何も道楽というものあないんですが、只正直な人で、貧乏をしている者を見ると気の毒でならないから、持ってる銭をくれてやりたくなるのが病です」
「フム良い病だ……面白い道楽だが、貧乏人に余り金を遣りすぎると却って其の人の害になる事があるから、気を付けなければいけません」
「其のくれえの事ア知っています、其の人の身分相応に恵まないと、贅沢をやらかしていけません」
「感心だ……名人になる人は異ったものだ、のうお島」
「左様でございます、誠に善いお心掛で」


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