GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』
現代語化
「これは思いがけないことだ。祖五郎殿にも春部さんにもしばらく……」
「ええ、今はどこで」
「いや、国に行って探してきた。それからどうすることもできなかったから、奈良あたりで稽古して、こちらに出てきたんだ。これからが本当の修行だ。さあ、一盃」
「松蔭殿、面目次第もございません。尾羽打枯らした浪人の生計で、仕方なくこんな商売をしております。誠に恥ずかしい次第で、松蔭殿にお目通りするのも気が引けますが、構わず来てくれとお家老様が仰るのでお伺いしました。あなた様はどんどんご出世され、陰ながら喜んでいます」
「祖五郎も陰ながら、あなた様の御出世は父織江が世話した甲斐があったと陰ながら喜んでいます。今日は思いがけずお目にかかれました。今後ともお引き立てをお願いします……こういうご宴会があるときは必ずお呼びください」
「松蔭様、ちょっと。竹です」
「これはお竹様。これは実にすごいな」
「いや、実にすごい。芸者たちは帰したほうがいいな。こっちにいると屋敷の話もできないから、急いで秋田屋芸者たちを早く帰せい」
「へえ」
「さあ、こちらに来て昔の話をしよう。この祖五郎の父織江は福原と親しくしていた。忠義無二の男だったが、武運拙くして谷中瑞麟寺の藪蔭で何者とも知れず殺害され、不束のため永遠の暇を仰せつけられた。討った敵が分からないそうだが、さぞ残念だろう」
「はっ、誠に残念至極で」
原文 (会話文抽出)
「大きに御苦労/\、さア/\こゝへ来て、ずうっとこゝへ来な、構わずに此処へ来て一盃……それから松蔭もこゝへ来て……えゝ、これは貴公も知って居る通り、渡邊織江の忰祖五郎で、彼は春部梅三郎じゃ、不調法があってお暇になり、浪人の活計に迫り、自分も好きな所から能役者となりたいと、何うやら斯うやら今では能役者でやって居るそうだ、これは祖五郎の姉だ、器量も好いがお屋敷へ帰るまでは何処へも嫁付くことは否だと、皷を打ったり、下方が出来る処から出入町人の亭主に心安い者があって、其処にいると云うが、今日は幸いな折柄で、どうか又贔屓にして斯ういう事が有ったら前々屋敷にいた時の馴染もあるから呼んでやってくれ」
「これは思掛けない事で、祖五郎殿にも春部氏にも暫く……」
「えゝ、只今は何処に」
「いや、国へ尋ねて来た、それからま何うするにも仕方がないから、奈良辺で稽古をして、此方へ出て来たので、是からが本当の修業じゃ、さア/\一盃/\」
「松蔭殿、面目次第もない、尾羽打枯した浪人の生計、致し方なく斯様な営業をいたして居り、誠に恥入りました訳で、松蔭殿にお目通りを致しますのも間の悪い事でございますが、構わんから参れと、御家老の仰せを受けて罷出ました、貴方様には追々御出世、蔭ながら悦び居ります」
「祖五郎も蔭ながら、貴方様の御出世は父織江がお世話致した甲斐がござると蔭ながら悦び居ります、今日は思掛けなく御面会を致しました、此の後共御贔屓を願いとう……斯様な御酒宴のございます節には必ずお招きを願います」
「松蔭さま暫く、竹でございます」
「これはお竹さま、これは実に妙でげすな」
「いや実に妙だ、芸者は帰したら宜かろう、却って此処にいると屋敷の話も出来んから、取急いで秋田屋芸者共を早く帰せ/\」
「へえ/\」
「さ、こゝへ来て昔の話をしよう、この祖五郎の父織江は福原別懇であった、忠義無二な男であったが、武運拙くして谷中瑞麟寺の藪蔭で何者とも知れず殺害され、不束の至りによって永のお暇を仰付けられ、討ったる敵が知れんというが、さぞ残念であろう」
「はっ、誠に残念至極で」