三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「さ、これへ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「さあ、こちらへ」
「今日は」
「いやあ、たくさん呼んだの」
「さあ、こちらに来てお酌を。大夫様から」
「へえ、大夫様にお酌をしましょう」
「いや、成程これは綺麗だな。ああ、成程、松蔭、年を取っても酌はうまいのう。何歳になっても女は見ていて悪くないものだな。ん?中々どうも……なんという名前だっけ?小玉か。成程、どんずりした男がいるな。あれは何だ?」
「ええ、私は鳥羽屋五蝶と申します幇間で」
「ほほう。何を叩くんだ?」
「いえ、口で叩きます」
「口で太鼓を……唇でか?」
「いえ、なに、太鼓持ちで、えへへへ」
「うん、成程。口が軽いことを言うな。幇間か。成程、聞いていた。中々面白い顔だ」
「へへへ、どうもまだどんずりでございます」
「太鼓持ちの顔って、みんなこんなんなのか?」
「みんなお揃いっていうわけではありませんが、自然と毛が薄くなりましたので」
「いや、形が変で妙だな。幇間は口が軽っていうけど、何か面白いことを言ってみろ」
「これは恐れ入りましたな、御家老様。改まってこれを言えと仰せられますと困りますが……喜三郎、こっちに来いよ。金公、こっちに来いよ」
「口が軽いなんてもうお目通りはできないってのはどうだ?」
「何だえ、それは」
「足軽っていう洒落だ」
「縁が遠いの。口軽と足軽では」
「私は酒がだめだなぁ。岩越、一盃やれ」
「私はこういう形のものは初めて見ました。すごく違って見えます。言うことも中々面白そうです」
「これから徐々に出てきます」
「大夫様、このお庭はいいお庭ですね」
「ああ、いいんだよ」
「大きな緋鯉がいますね。更紗とか亀井戸もいいねって言うんで」
「どういうわけ?誰が亀井戸でいいねって言ったんだ?」
「いえ、なに、そういうわけではありません。これはどうも恐れ入りましたな」
「私も一つ洒落でもしようかな」
「これは恐れ入ります。みんなこっちに来てお聞きなさい。大夫様が洒落をするんだって、お上屋敷の御家老様が」
「あんたは甘いもので洒落るから、私も一つ洒落してみよう」
「改まって洒落しようというお声がけは恐れ入ります」
「私の国は美作で」
「へえ、成程」
「私は城代家老だ」
「へえ」
「そこで洒落るんだ」
「大層どうもお洒落の玄関から大広間は恐れ入りました。へえ、成程」
「美作城代家老私、というのはどうだ?」
「へえ、恐れ入りましたな。それはどういうわけなんで」
「分からないのか?いまさか羊羹鹿の子餅」
「へええ、成程、気づきませんでした。美作城代家老私、いまさか羊羹鹿の子餅。これは恐れ入りました……どうも恐れ入ったね」
「恐れ入りました。御家老様からお洒落がお菓子から出たから、可笑な洒落とやらをやろうかね。さあと言うとすぐに浮かばないものですが」
「私がちょいと一つやりますよ」
「や、これはみの吉さん、感心」
「私が赤飯を食べたんだよ」
「可笑しな洒落だな」
「汁粉屋で赤飯を出したんだよ」
「この頃は汁粉屋で赤飯を売ってるよ」
「だから白木屋お駒っていうのを汁粉屋赤飯さ」
「前に内容を言ってから後から言うのは可笑しい」
「私が一つ洒落してみましょうか」
「岩越様、あなた様の洒落は」
「私は考えたけど、すごく難しいよ。これはムウ……待ってくれ。ああ、阿部川餅というのがありますね」
「へえ、ございます」
「一つ八文で」
「阿部川、へい、一つは八文で」
「あべ川の八銭では本当の値打ちだってのはどうだ?」
「へえ、変なお洒落で。それはどういうわけなんで」
「姉川の合戦、本多が出だっていうんだ」

原文 (会話文抽出)

「さ、これへ」
「今日は」
「いや/\大勢呼んだの」
「さ、これへ来てお酌を、大夫様から」
「へえ、大夫様お酌をいたしましょう」
「いや成程これは綺麗、あい/\、成程松蔭年を老っても酌はたぼと云って幾歳になっても婦人は見て悪くないもんだの、むゝう、中々どうも……何てえ名だなに、小玉か成程、どんずり奴の男がいる、あれは何だ」
「えゝ手前は鳥羽屋五蝶と申します幇間で」
「ほゝう、なに太鼓を叩くか」
「いえ、只口で叩きます」
「口で太鼓を…唇でかえ」
「いえ、なに、太鼓持で、えへゝゝ」
「うん成程、口軽なことをいう、幇間か、成程聞いていた、中々面白い頭だの」
「へゝゝ、どうも未だどんずり奴でございます」
「太皷持の頭は、皆此様なかえ」
「皆お揃いと云う訳ではございませんが、自然と毛が薄くなりましたので」
「いや形が変って妙だ、幇間は口軽だというが、何か面白いことを云いなさい」
「これは恐入りましたな、御家老さま、改まってこれを云えと仰せあられますと困りますが……喜三郎こゝへ出なよ、金公や此処へ出なよ」
「口軽なんぞ迚もお目通りは出来ないというのは何うだ」
「何だえ、それは」
「足軽という洒落だ」
「縁が遠いの、口軽と足軽では」
「私は酒が頓といかん、岩越一盃やれ」
「私は斯ういう形のものは始めて見ました、余程違って居ります、云うことも中々面白いようで」
「これから追々繰出します」
「大夫様、此のお庭は好いお庭でございますな」
「なか/\好いの」
「大きな緋鯉が居ります、更紗や何か亀井戸もよろしく申すので」
「何ういう訳で、誰が亀井戸でよろしくと申した」
「いえなに、然ういう訳ではありません、これはどうも恐入りましたな」
「私も一つ洒落ようかな」
「これは恐入ります、皆な此処へ来て伺いな、大夫様がお洒落遊ばすと、お上屋敷の御家老様が」
「貴公は甘い物で洒落るから、私も一つ洒落よう」
「改まって洒落ようというお声がかりは恐入ります」
「私が国は美作で」
「へえ成程」
「私は城代家老じゃ」
「へえ/\」
「そこで洒落るのだ」
「大層どうもお洒落の御玄関から大広間は恐入りました、へえ、成程」
「美作城代家老私、というのは何うだ」
「へえ、恐入りましたな、それは何ういう訳なんで」
「分らんの、いまさか羊羹鹿の子餅」
「へゝえ、成程気が付きません、美作城代家老私、いまさか羊羹鹿の子餅、これは恐入りました……どうも恐入ったね」
「恐入りました、御家老様からお洒落がお菓子で出たから、可笑な洒落と云うのをやろうかね、さアと云うと一寸出ないものでげすが」
「私がちょいと一つやるよ」
「や、これはみの吉さん感心」
「私が赤飯を喫べたんだよ」
「可笑しな洒落だね」
「汁粉屋で赤飯を出したのだよ」
「此の節は汁粉屋で赤飯を売るよ」
「だから白木屋お駒というのを汁粉屋赤飯さ」
「前に本文を断って後から云うのは可笑しい」
「手前が一つ洒落ようかの」
「岩越さま、あなた様のお洒落は」
「手前は考えたが余程むずかしいて、これはムヽウ…待ってくれ、えー阿部川餅というのが有るの」
「へえ/\ございます」
「一つ八文で」
「阿部川、へい、一つは八文で」
「あべ川の八銭では本当の直だというのは何うだ」
「へえー、変なお洒落で、それは何う云う訳なんで」
「姉川の合戦、本多が出たというのだ」


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