三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「何を遊ばすの、御病中お高声はお宜しく有り…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「何を言ってるんだ?病気中に大きな声を出してはいけません。富弥みたいなやつ相手にして調子に乗ってないでください。富弥も黙ってろ」
「へえ」
「とにかくよくないですよ。でも水飴は止めてください」
「ええと喜んで。今日は富弥の罪は許さないよ。幼いころからそばにいて世話してくれたとは言うけど、言い換えれば俺をバカにしてるんだろう?俺を見下す富弥、許さねえ。斬るぞ」
「これはまた大騒ぎですね。一体どういうことですか?」
「俺の咳を治そうと屋敷から送られた、特別な水飴を飲もうとしたところに、この奴が駆け込んで来て突然俺が持っていた箸を奪って庭に捨てた。これはそのまま兄上を庭に投げ捨てたようなものだから許さない。そこに出ろ。ふざけたやつだ」
「これはひどい。富弥、どういうつもりなんだ?上からいただいた水飴は特別なもので、梅の御殿様の思いやりでわざわざ作ってくださったのに、どうしてそんなことをしたんだ?」
「毒だからです。口に入る前に口で止めようとしても間に合わないので、無礼にも庭に捨てました」
「それはまたどういうわけだ?」
「どういうわけって、今は言えませんけど、すごく毒なんです」
「ん?初めて聞いたよ。水飴は周の世の終わりに初めて作られて、柳下恵がそれを見て「いいものができた。歯のない老人や乳の出ない子どもに飲ませたらいい」と言ったとか。とても素晴らしいものができたって。後の世の幸せだって言ったんだって。咳にはとてもいい薬だ。そんな素晴らしいものがどうして毒なんだ?まあ、その当時、盗跖っていう大盗賊が手下と話してたんだって。「いいものができた。戸のちょうつがいになすりつければ音がせずに開けられる。忍び込むのにいい」って。とてもいいものだって言ったそうだ。同じ水飴でも見る人によってこんなにも違うんだ。私もお見舞いに差し上げようと思って、わざわざ白山前の飴屋源兵衛から持って来た水飴だよ」
「これはひどい。秋月の老人だからそんなことはないと思っていたのに、これはひどい。あなたはどうなったんです?」
「お前のほうこそどうなってるんだ?咳の治療と養生のためになる水飴を…」
「ス……なんだって?」

原文 (会話文抽出)

「何を遊ばすの、御病中お高声はお宜しく有りません、富彌如き者をお相手に遊ばしてお論じ遊ばすのはお宜しくない、富彌も控えよ」
「へえ/\」
「何分宜しく、併し水飴はお止め申します」
「えゝ喜一郎、今日は富彌の罪は免さんぞ、幼年の折から側近くいて世話致しくれたとは申しながら、余りと云えば予を嘲弄いたす、予を蔑にする富彌、免し難い、斬るぞ」
「これは又大した御立腹、全体何ういう事で」
「予が咳を治さんとて、上屋敷から遣わされたお心入れの別製の水飴を甜めようとする処へ、此奴が駈込んで参り突然予が持っていた箸を引奪って庭へ棄てた、これ取も直さず兄上を庭へ投げたも同じ事じゃから免さん、それへ直れ、怪しからん奴じゃ」
「これは怪しからん、富彌、何ういう心得だ、上から下された水飴というものは一通りならんと、梅の御殿様の思召すところは御情合で、態々仰附けられた水飴を何で左様な事をいたした」
「お毒でございますから、お口に入らん内にと口でお止め申す間合がございませんから、無沙汰にお庭へ棄てました」
「それは又何ういう訳で」
「何ういう訳と申して、只今申上げる訳にはまいりませんが、至ってお毒で」
「ムヽウ、是は初めて聞く水飴は周の世の末に始めて製したるを取って柳下惠がこれを見て好い物が出来た、歯のない老人や乳のない子供に甜めさせるには妙である、誠に結構なものが出来た、後の世の仕合であると申したという、お咳などには大妙薬である、斯る結構な物を毒とは何ういう理由だ尤も其の時に盜跖という大盗賊が手下に話すに、是れは好いものが出来た、戸の枢に塗る時は音がせずに開く、盗みに忍び入るには妙である至極宜い物であると申したそうだ、同じ水飴でも見る人によっては然う違う、拙者もお見舞いに差上る積りで態々白山前の飴屋源兵衞方から持参いたした此の水飴」
「これは怪しからん秋月の御老人に限って其様なことは無いと存じていたが、是は怪しからん、あなたは何うかなすったな」
「其の方こそ何うかして居る、お咳のお助けになり、お養いになる水飴を」
「ス……はてな」


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