三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「何じゃ/\」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「なんだ/\」
「はっ、富弥です」
「バカ……何をやってるんだ」
「はあ」
「本当にいいところに駆けつけたよ。どうか水飴は召し上がらないでください。絶対に召し上がってはいけません」
「はあ、どうも私は驚きました。これはどういうことでしょうか。大変失礼いたしました。しかも今は屋敷からのお見舞いでいただいた水飴を、咳が出るから召し上がろうとされるのに、奪ってお庭に捨てるとは、どういうことですか?」
「いや、これは捨てます」
「富弥、この水飴はお兄様が咳が出るからと養生に送られた水飴なのに、なぜお庭に捨てたんだ?」
「いいえ、仮に屋敷から来ても、天皇陛下や将軍様から来ても、この水飴は富弥は必ず捨てます」
「どうしちゃったんだ、こいつは……これ、お前は俺が口に入れようとした水飴を庭に捨てたんだ。そうすると、そのまま俺とお兄さんを庭に投げ捨てたようなものだぞ。品物は構わないが、わざわざ心を込めていただいたものを投げ捨てたんだから、主人を投げ捨てたのも同じことだ」
「へえ、大変恐れ入ります。その点では本当に申し訳ありませんが、水飴を召し上がることは絶対にできません」
「どうしてだ?」
「とにかくできません」
「こいつはどこかおかしいよ。本当に失礼な奴だ」
「失礼は承知しておりますし、大変申し訳ないと思っておりますが、毒なので差し上げられません」
「どうして毒になるんだ?もし毒になるなら、水飴を差し上げても咳には効かないだろう。むしろ逆によくないからやめてくれって言えばいいだろ?」
「そんなことを口でぐちゅぐちゅ言っている間に召し上がってしまうので、お庭に捨てました」
「本当に変だ…」
「とりあえず外村さん、安心してもらえました」
「安心じゃないよ。なんて無茶苦茶なことをするんだ?お前はただ驚いて何も言えなかったんだろうが、屋敷からいただいたものを無闇にお庭に捨てるなんて、どういう間違え方をしてるんだ」
「外村、あれこれ言うな。こいつは主従関係が分かってないからなんだ。俺をバカにしてるんだ。年若い主人とバカにして、何をしてもいいと思っているんだろう?幼い頃から俺のそばにいるから、今も俺を子どもみたいに思ってバカにしてるんだ」
「いえ、そんなことは」
「いや、許さないぞ。見過ごすわけにはいかない。今日の行為は許されないことだ」
「見過ごすことができなければ、切り捨てになりますか?」
「その通りだ」
「私も覚悟の上です。切り捨ててください」
「これ/\なんだ?何をバカなことを言ってるんだ?少し逆上してるみたいだ。さっきお酒をいただいたので、惣兵衛、お前が代わりに謝れ。富弥はものすごく逆上してるみたいだから」
「いいえ、私は切り捨てられます」
「ああ、切り捨ててやる。こっちに出ろ」
「やめてください。私が行きます」

原文 (会話文抽出)

「何じゃ/\」
「ハッ富彌で」
「白痴……何をいたす」
「ハア」
「誠に幸いな処へ駈付けました、どうか水飴を召上る事はお止りを願います、決して召上る事は相成ません」
「はアどうも私は恟りしました、これは何という事です、御無礼至極ではござりませんか、殊に只今お上屋敷からお見舞として下されになった水飴、お咳が出るから召上ろうとする所を、奪ってお庭へ棄てるとは何事です」
「いえ、これは棄てます」
「富彌、此の水飴はお兄様がな咳が出るからと云って養いに遣わされた水飴を、何故其の方は庭へ棄てた」
「いえ仮令お上屋敷から参りましても、天子将軍から参りましても此の水飴は富彌屹度棄てます」
「何うか致したな此奴は……これ其の方は予が口へ入れようとした水飴を庭へ棄てた上からは、取りも直さず予とお兄様を庭へ投出したも同様であるぞ、品物は構わんが、折角お心入れの品を投げ棄てたからは主人を投げたも同じ事じゃ」
「へえ重々恐入ります、其の段は誠に恐入りましたが、水飴を召上る事は決して相成りません」
「何故ならん」
「何でも相成りません」
「余程此奴は何うかいたして居る、無礼至極の奴じゃ」
「御無礼は承知して居ります、甚だ相済みません事と存じながら、お毒でござるによって上げられません」
「何故毒になる、若し毒になるなら、水飴を上げても咳の助けには相成らん、却って悪いから止せと何故止めん」
「左様な事を口でぐず/\申している内には召上ってしまいます、召上っては大変と存じまして、お庭へ投棄てました」
「余程変じゃ…」
「先ま外村氏安心致しました」
「安心じゃアない、粗忽千万な事じゃないか、手前は只驚いて何とも申上げ様がない、お上屋敷から下すったものを無闇にお庭へ投棄てるというは何ういう心得違いで」
「外村彼是云うな、此奴は君臣の道を弁えんからの事じゃ、予を嘲弄致すな、年若の主人と侮り何の様な事を致しても宜しいと存じておるか、幼年の時から予の側近く居るによって、いまだに予を子供のように思って馬鹿に致すな」
「いえ、中々もちまして」
「いや容赦は出来ん、棄置かれん、今日の挙動は容易ならんことじゃ」
「お棄置きに成らんければお手打になさいますか」
「尤も左様」
「私も素より覚悟の上、お手打になりましょう」
「これ/\何だ、何を馬鹿を申す、少々逆上て居る様子、只今御酒を戴きましたので、惣衞彼に成代ってお詫をいたします、富彌儀太く逆上をして居る様子で」
「いゝえ私はお手打に成ります」
「おゝ手打にしてやる是へ出え」
「いゝえお止めなすっても私は出る」


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