三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「定」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「定」
「はい」
「茶屋町で縫い物してる縫ってのは何か?亭主がいるのか?」
「いいえ、亭主はいません。4年前に亡くなって、子どももいません。未亡人暮らしで、今は屋敷やお寺さんの仕事をしています。普段は縮緬の半纏を着て、芝居とかに行くと帰りには必ずお茶屋でご飯とか何か食べます」
「そんなことはどうでもいい。奥様の松蔭の家にいた下女、菊って言ったっけ?」
「名前は知りませんが、その下女が下男と不倫をして殺されたっていう話は聞きました。今思い出しました」
「松蔭だけだと名前が分からんな。苗字が珍しいわけでもないし。神原四郎治はうちの家来だってのは確かだけど、四郎治とくっつくやつは大蔵しかいない。でも、向こうの親の名前が書いてあれば調べやすいんだけど、ス……これ定、茶屋町の縫って女を呼びに行け。すぐに……変に思われてどこかに隠れたりしたら困るから、お前ちょっと行ってこい。さっきの服のことについて頼みがあるって言え。他にも縫い物があるし、置いていった服2枚も買い取るつもりだし、旦那様も帰ってきたから相談するって言えばいい。それにうまいものができたから、ごちそうしてやるって言え。早く来いって言え」
「じゃあ私が行きましょうか?」
「お前の方がいいだろう。女は女同士だし、このことは絶対に言っちゃダメだぞ」
「もちろんです。絶対に言いません」

原文 (会話文抽出)

「定」
「はい」
「茶屋町の裁縫をいたす縫というものは何かえ、彼は亭主でも有るのか」
「いえ、亭主はございません、四年已前に死去りまして、子供もなし、寡婦暮しで、只今はお屋敷やお寺方の仕事をいたして居りますので、お召縮緬の半纒などを着まして、芝居などへまいりますと、帰りには屹度お茶屋で御膳や何か喫べますって」
「其様な事は何うでも宜い、御新造松蔭の家にいた下婢は菊と云ったっけの」
「私は名を存じませんが、其の下女が下男と不義をいたして殺されたという話を聞きましたから、只今考えて居りますので」
「只松蔭とのみで名が分らんと、他にない苗字でもなし、尤も神原四郎治は当家の御家来と確かに知れている、その四郎治と心を合せる者は大藏の外にはないが、先方の親の名が書いてあると調べるに都合も宜しいが、ス……これ定、其の茶屋町の縫という女を呼びに遣れ、直に……事を改めていうと胡乱に思って、何処かへ隠れでもするといかんから、貴様一寸行って来い、先刻の衣服の事について頼みたい事がある、他に仕立物もある、置いてまいった衣服二枚を買取るに都合もあるから、旦那様もお帰りになり、相談をするからと申してな、それに旨い物が出来たで、馳走をしてやる、早く来いと申して、直に呼んでまいれ」
「じゃア私がまいりましょうか」
「却って貴様の方が宜かろう、女は女同志で、此の事を決していうな」
「何う致しまして、決して申しは致しません」


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