三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「御免遊ばして」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「失礼します」
「あら、お縫さん、お久しぶり……さあ、お上がりください」
「ご無沙汰しております。この間はありがとうございました……今日はご新婦さんはお宅ですか?」
「はい、奥にいらっしゃいますよ」
「実はたった一人の妹がいて、私が頼りにしていたその子がすごく丈夫だったのに、具合が悪くなってしまって、そちらに泊まりがけで看病をしていたりいろいろあってだいぶ遅くなりました。でも、まだ綿入れには早いですし」
「できましたか?」
「はい、そうです」
「奥様、あの茶屋町のお縫さんがいらっしゃいました」
「さあ、こちらへどうぞ」
「失礼いたします……ご無沙汰しております」
「体調は随分変わりました?」
「本当に様子が違いました。でもお変わりなく」
「ありがとうございます」
「お気に召すかわかりませんが、悪ければ直します」
「とてもよくできました。すごく素敵です……あなたのは仕立て屋より着心地がいいと旦那も言っていて、本当にうまくできました。雰囲気もよくなりましたね」
「これは何でしょうか。洗い張りしたらすごくよくなりました。でも生地がいいので、当然仕立て映えしますね」
「お久しぶりですね」
「はい、なんででしょう。すぐ大門町にいる妹ですが、普段は丈夫だったのに、長期間病気をしてしまって、手伝いに行きました。叔母が一人いますが、その叔母が私を助けてくれていました。長生きで84でしたが、先日亡くなりました。あなたもその年齢まで眼鏡もかけず、歯も丈夫で、腰も曲がらないほど元気だったそうですが、月夜の晩に縁側で裁縫をしていたら、そこで倒れたままぽっくり亡くなってしまったんです。それでいろいろ忙しくて……お小袖なので間に合わないことはないだろうと思って、ご無沙汰してしまいました。今年は天気が悪くて、上方では大雨だったと聞きました。そちらの大殿様も若殿様もご体調が悪いそうですね」
「ああ、本当に長引いて」
「いつもそう言いますので、叔母が亡くなっても後悔はありません。この屋敷の殿様がご病気で、お医者さんも5人も3人も付いて、いいお薬を飲んで、手当てもしているけど、よくなる時期が来なければよくならないから、くよくよ考えることはないと言ってましたよ」
「まだご容態がよくなくて、本当に心配しています。夜になると咳が出てしまって」
「そうなんですか。それは大変ですね。でもまだお若いので、きっとすぐに回復しますよ」
「回復しないと大変な方なので、一刻も早くと思って心配しているんです」
「奥様、こんなことをお見せするのはなんですが、他から頼まれてすごく安いので持って出たんです。二枚小袖の売り物が出まして、まあこんなものを持って出たりで申し訳ないんですが、出所が確かですからお見せしますが、それに八丈の細い唐手が1枚入っています。あとは縞縮緬で裏がいいです。普段着にも、下着にも着ていただけます」
「私は古着は嫌いなんです」
「そうですよね。でも出所がわかってるものなので」
「じゃあ出してみて」
「かしこまりました」

原文 (会話文抽出)

「御免遊ばして」
「おや、お縫さん、よくお出掛け……さ、お上んなさい」
「誠に御無沙汰をいたしました、此間は有難う……今日は御新さんはお宅に」
「はア奥にいらっしゃるよ」
「実はたった一人の妹で、私が力に思っていました其の者が、随分丈夫な質でございましたが、加減が悪くって、其方へ泊りがけに参って居りまして、看病を致してやったり、種々の事がありまして大分遅くなりました、尤もお綿入でございますから、未だ早いことは早いと存じまして」
「出来ましたかえ」
「はい、左様でございます」
「御新造様、あの茶屋町のお縫どんがまいりました」
「さ、此方へお入り」
「御免遊ばしまし……誠に御無沙汰をいたしました」
「朝晩は余程加減が違ったの」
「誠に滅切御様子が違いました、お変り様もございませんで」
「有難う」
「御意に入るか存じませんが、お悪ければ直します」
「大層好く出来ました、誠に結構……お前のは仕立屋よりか却って着好いと旦那も仰しゃってゞ、誠に好く出来ました、大分色気も好くなったの」
「これは何でございます、お洗い張を遊ばしましたら滅切りお宜しくなりました、尤もお物が宜しいのでございますから、はい仕立栄がいたします」
「久しく来なかったの」
「はいなんでございます、直に大門町にいる妹ですが、平常丈夫でございましたが、長煩いを致しましたので、手伝いにまいりまして、伯母が一人ございますが、其の伯母は私のためには力になってくれました、長命で八十四で、此の間死去りましたが、あなた其の歳まで眼鏡もかけず、歯も好し、腰も曲りませんような丈夫でございましたが、月夜の晩に縁側で裁縫を致して居りましたが、其処へ倒れたなり、ぽっくり死去りましたので、それゆえ種々取込んで……お小袖ですから間に合わん気遣いはないと存じまして、御無沙汰をいたしました、今年は悪い時候で、上方辺は大分水が出たという話を聞きました、お屋敷の大殿様も若殿様もお加減がお悪いそうで」
「あゝ誠にお長引きで」
「私は毎も然う申しますので、伯母が死去りましても悔むことはない、これ/\のお屋敷の殿様が御病気で、お医者の五人も三人も附いて、結構なお薬を召上り、お手当は届いても癒る時節にならなければ癒らんから、くよ/\思う事はないと申して、へえ」
「何分未だお宜しくないので、実に心配しているよ、夜分はお咳が出ての」
「然うでございますか、それはまア御心配でございますね、併しまだお若様でいらっしゃいますから、もう程無う御全快になりましょう」
「御全快にならなくっちゃア大変なお方さまで、一時も早くと心配しているのさ」
「えゝ御新造様え、こんな事をお勧め申すと、なんでございますが、他から頼まれて、余りお安いと存じまして持って出ましたが、二枚小袖の払い物が出ましたので、ま此様な物を持って出たり何かして、済みませんが、出所も確かな物ですから、お目にかけますが、それに八丈の唐手の細いのが一枚入って居ります、あとは縞縮緬でお裏が宜しゅうございます、お平常着に遊ばしても、お下着に遊ばしても」
「私は古着は嫌いだよ」
「左様でございましょうが、出所が知れているものですから」
「じゃア出してお見せ」
「畏まりました」


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