三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「州さん、あなたは怪しからぬお方で、御出家…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「州さん、あなたはひどい方です。出家の身分で……幼い頃から修行なさって、何年も行脚して、私はこんな修行をした、仏法はありがたいものだ、こういうものだから、あなたも惑いを起こしてはならないと、宿に泊まっても寝るまではあなたの教え、ああありがたいお話で、とても悟ることができました。美作まで送るとおっしゃっても、他の方なら断るのですが、出家様なので安心してお願いしたのに、無駄だったんですね。あなたがそんなお気持ちになってはなりません。どうにか惑いを晴らして……怒りはしませんから、これまで通り道連れの女と思って美作まで送っていただけますか。これまでのあなたの本当の姿は私が知っていますから」
「むう、ここまで言ってもお聞きいただけません?」
「どうしてあなた、ご立派な身分でそんなことができますか?」
「そうか……そこまで強く言われたらもうここまでだ。私もどうせ惑いを起こして魔界に落ちたのなら、最後まで悪しき道を行く。私はここで別れる。あなたは病気の体で鴻の巣まで行きなさい。それもいいだろうが、道の様子を知らないだろう。夜道になって、女のひとり旅はどういうつらい目に遭うかわからない。さあ、これで別れましょう」
「お別れ申し上げても仕方がございませんが、あなたの惑ったお心を変えてくだされば、私には恨みとも何とも思いませんから」
「いや、あなたにはないだろうが、私にはあるんだ。私は還俗してあなたのために力を貸し、どんなことでもしよう。長旅をして、あなたを美作まで送ろうとは、今までしてきた修行を無駄にするのもすべてあなたのためだ。どうか私の願いをかなえてください。それもしなければ仕方がない。もうこれからは鬼になって、どんなことをしてもこの思いを晴らさずにいられない。場合によっては手込にもせざるを得ないだろう」
「迷った出家、近づいたらただではおかないぞ」
「あなたは私を斬るつもりなのか。もうこれからはかわいさ余って憎さが百倍だ。さあ、斬っておくれ」
「その言葉ならもうこれまで」

原文 (会話文抽出)

「州さん、あなたは怪しからぬお方で、御出家のお身上で……御幼年の時分から御修業なすって、何年の間行脚をなすって、私は斯う云う修業をした、仏法は有難いものじゃ、斯ういうものじゃによって、お前も迷いを起してはならないと、宿に泊って居りましても臥床る迄は貴方の御教導、あゝ有難いお話で、大きに悟ることもありました、美作まで送って遣ろうとおっしゃっても、他の方なれば断る処なれど、御出家様ゆえ安心して願いました甲斐もなく、貴方が然う云うお心になってはなりません、何卒迷いを晴らして……憤りはしませんから、元々通り道連れの女と思召して、美作までお送り遊ばしてくださいまし、是迄の御真実は私が存じて居りますから」
「むゝう、是程に云ってもお聞済みはありませんか」
「どうして貴方大事を抱えている身の上で其様な事が出来ますものか」
「然うか……そうお前に強う云われたらもう是までじゃ、私もどうせ迷いを起し魔界に堕ちたれば、飽までも邪に行く、私はこれで別れる、あなたは煩うている身体で鴻の巣まで行きなさい、それも宜いが、道の勝手を知って居るまい、夜道にかゝって、女の一人旅は何の様な難儀があろうも知れぬ、さ、これで別れましょう」
「お別れ申しても仕方がございませんけれども、貴方の迷いの心を翻えしてさえくだされば、私に於てはお恨みとも何とも存じませんから」
「いや、お前は何ともあるまいが、此方に有るのじゃ、私は還俗してお前のためには力を添えて、何の様にも仕よう、長旅をして、お前を美作まで送って上げようとは、今迄した修業を水の泡にしてしまうのも皆なお前のためじゃ、何うぞ私の願を叶えてください、それとも肯かんければ詮方がない、もう此の上は鬼になって、何の様な事をしても此の念を晴さずには置かん、仕儀によっては手込にもせずばならん」
「迷うたか御出家、寄ると只は置きませんぞ」
「おまえは私を斬る気になったのじゃな、最う此の上は可愛さ余って憎さが百倍、さ斬っておくれ」
「そんなれば最う是迄」


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