三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「お客さん……お客さん……眠ったかね、お客…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「お客さん……お客さん……寝てる?お客さん寝てる?」
「はい、どちら様?」
「へえ、私ですよ」
「あら、御子息さん。こちらへおいでください……まだ寝てはいませんが、蚊帳の中に入りましたよ」
「ああ、さぞ力になってくれた人が亡くなって、あなたはお寂しいでしょうね。私も本当に心配で気がかりですよ」
「いろいろお世話になって、何かお礼がしたいと思ってもお礼をすることもできません」
「さっき親父が私のところに来て、あなたが金包みでいろいろ迷惑をかけているからって、別に私にもお金をくれたけど、そんなに心配しなくてもいいよ。何もお金がほしくて面倒見てるわけじゃないんだから」
「それはあなたの御親切は存じています。本当にありがとうございます」
「ところで、昨日ね、私があなたの懐の中に入れたものをあなたは開いてみましたか?」
「何を……あなたが……」
「あなたの懐の中に入れたものを私が入れていることがあるよ」
「どんなもの?」
「どんなって、心を込めた思いを書いたんだよ。あなたの懐に入れたものがあったじゃないか」
「私はまったく知りませんで、何か無駄な流行唄かと思いましたから、丸めて捨ててしまいました」
「それはダメだよ。流行唄じゃないよ。尽し文だよ。艶文だよ。丸めて捨ててはダメだよ。人がいろいろ心を込めて書いたのに」

原文 (会話文抽出)

「お客さん……お客さん……眠ったかね、お客さん眠ったかね」
「はい、何方」
「へえ私でがすよ」
「おや/\御子息さん、さ此方へ……まだ眠りはいたしませんが、蚊帳の中へ入りましたよ」
「えゝ嘸まア力に思う人がおっ死んで、あんたは淋しかろうと思ってね、私も誠に案じられて心配してえますよ」
「段々お前さんのお世話になって、何ぞお礼がしたいと思ってもお礼をする事も出来ません」
「先刻親父が処え貴方が金え包んで種々厄介になってるからって、別に私が方へも金をくれたが、そんなに心配しねえでも宜え、何も金が貰いてえって世話アしたんでねえから」
「それはお前の御親切は存じて居ります誠に有難う」
「あのー昨夜ねえ、私が貴方の袂の中へ打投り込んだものを貴方披いて見たかねえ」
「何を…お前さんが…」
「あんたの袂の中へ書えたものを私が投り込んだ事があるだ」
「何様な書いたもの」
「何様たって、丹誠して心のたけを書いただが、あんたの袂に書いたものが有ったんべい」
「私は少しも知らないので、何か無駄書の流行唄かと思いましたから、丸めて打棄ってしまいました」
「あれ駄目だね、流行唄じゃアねえ、尽しもんだよ、艶書だよ、丸めて打棄っては仕様がねえ、人が種々丹誠したのによ」


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