三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「斯ようの中ゆえ拙者の姓名等も申上げず、恐…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「このような場面なので、自分の名前などは申し上げられませんでしたが、失礼いたしました。私は粂野美作守家臣渡辺織江と申します。今日はお寺参りの帰途、この娘が飛鳥山の花を見たいと言うので連れてまいりましたところ、思いがけず貴殿のお力添えをいただき、無事に事が済みました。お礼の言葉もございません。しかし、どうも起倒流のお腕前は素晴らしいと感服いたしました。きっと由緒あるお方と存じます。お名前をどうか」
「私は名もなき浪人です。いえ、恐れ入ります。さようですか。実は私は松蔭大蔵と申しまして、根岸の日暮が岡脇の乞食坂を下りて左手へ曲がったところにある、見る影もない小屋にひっそりと住んでおります。今後とも末永く…」
「そうでしたか。ああ、もったいないお方様が、今の身の上は」
「誠に恥ずかしいことですが、浪人の暮らし向きで仕方なく占いをして生計を立てております」
「占いを…易を…なるほど、お気の毒です」
「あなたも占いをするのですか?すごいですね。占いをするから負けるか負けないかを知ってから勝負に臨むから大丈夫なんですね。本当にありがとうございました」
「いずれお宅にお礼に伺います」

原文 (会話文抽出)

「斯ようの中ゆえ拙者の姓名等も申上げず、恐入りましたが、拙者は粂野美作守家来渡邊織江と申す者、今日仏参の帰途、是なる娘が飛鳥山の花を見たいと申すので連れまいり、図らず貴殿の御助力を得て無事に相納まり、何ともお礼の申上げようもござりません、併しどうも起倒流のお腕前お立派な事で感服いたしました、いずれ由あるお方と心得ます、御尊名をどうか」
「手前は名もなき浪人でございます、いえ恐入ります、左様でございますか、実は拙者は松蔭大藏と申して、根岸の日暮が岡の脇の、乞食坂を下りまして左へ折れた処に、見る蔭もない茅屋に佗住居を致して居ります、此の後とも幾久しく……」
「左様で、あゝ惜しいお方さまで、只今のお身の上は」
「誠に恥入りました儀でござるが、浪人の生計致し方なく売卜を致して居ります」
「売卜を……易を……成程惜しい事で」
「お前さまは売卜者か、どうもえらいもんだね、売卜者だから負けるか負けねえかを占て置いて掛るから大丈夫だ、誠に有難うござえました」
「何れ御尊宅へお礼に出ます」


青空文庫現代語化 Home リスト