三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「さア何時までべん/\と棄置くのだ、二階へ…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「さあいつまで文句を言っているんだ。折助が2階に上がってから降りてこないんだ。さて、これをどうするんだ?」
「申し訳ございません」
「へえ、お出でなさい。どちら様ですか?」
「ただ今、家来どもが不調法をいたしまして、申し訳ございません。何も知らない田舎者なので、盗まれるのが嫌で草履を懐に入れておりまして、つい不調法をいたし、ご立腹をかけてしまい、恐れ入っております。少し遅くなりましたので、早く帰らないと両親が心配しますので、何卒ご勘弁いただきまして、これはたいした包ではありませんが、これと交換に私がお詫びいたします」
「どうも恐れ入りました。ご自身にお出ましいただくとは恐れ入りました。本当に美しいお方ですね。ははは、腹が立っているわけではありませんが、ちょっと3人で花見をしているというわけでもなく、ぶらりと銭湯の帰りに一杯やっているところへ、ははは」
「家来どもが不調法をいたしましたので、さぞかしご立腹かと思いますが…」
「いや、あなたがお出ましいただくまでもありませんが、お出でいただければありがたいことです。恐れ入りました。さあ、一杯召し上がってください」
「何ですか?仕方ないな。お前ほど女性に惚れる人間はいないよ。女性を見ると、許しがたいことでもすぐにデレデレと許してしまう。それもいいが、その後の清算をどうする?清算を。さっき、親子連れで上がった立派な侍が2階にいるじゃないか。それを女を詫びに出すとはどういうわけだ?その件を確認してからにしてくれ。清算をどうするんだ?」
「うん、なるほど。気がつきませんでしたが、先ほど上がっていたのですか?本当にその通りですから、そうしましょう」
「わけのわからないことを言っている。とにかく、ご主人がお詫びに来たから、それでいいじゃないか。こんな人混みでいろいろ言えば、あなたも恥をかくし、お嬢様も辱めを受ける。とても見苦しいから、私の家にご招待して、一杯差上げて、にこやかに別れるのがいいだろう」
「それはたいへんよろしい。私の家は手狭ですが、この方は私の知り合いで、家はわりと広いので、ちょっと一杯飲んですぐお別れしましょう」

原文 (会話文抽出)

「さア何時までべん/\と棄置くのだ、二階へ折助が昇った限り下りて来んが、さ、これを何う致すのだ」
「御免遊ばしませ」
「へえお出でなさい、何方さまで」
「只今は家来共が不調法をいたして申訳もない事で、何も存じません田舎者ゆえ、盗られるとわるいと存じまして、草履を懐へ入れて居って、つい不調法をいたし、御立腹をかけて何とも恐入ります、少し遅く成りましたから早く帰りませんと両親が案じますから、何卒御勘弁遊ばしまして、それは詰らん包ではございますが、これに成り代りまして私からお詫を致します事で」
「どうも是は恐入りましたね、是はどうも御自身にお出では恐入りましたね、誠にどうもお麗わしい事でありますな、へゝゝ、なに腹の立つ訳ではないが、ちょっと三人で花見という訳でもなく、ふらりと洗湯の帰り掛けに一口やっておる処で、へゝゝ」
「家来どもが不調法をいたし、嘸御立腹ではございましょうが……」
「いや貴方のおいでまでの事はないが、お出で下されば千万有難いことで、何とも恐入りました、へゝゝ、ま一盃召上れ」
「何だえ、仕方がないな、貴公ぐらい女を見ると惚い人間はないよ、女を見ると勘弁なり難い事でも直にでれ/\と許してしまう、それも宜いが、後の勘定を何うする、勘定をよ、前に親娘連れで昇った立派な侍が二階に居るじゃアないか、然るを女を詫によこすてえ次第があるかえ、其の廉を押したら宜かろう、勘定を何うするよ」
「うん成程、気が付かんだったが、前に昇っていたか、至極どうも御尤もだから然う致そうじゃアないか」
「何だか分らんことを云ってる、兎に角御主人がお詫に来たから、それで宜いじゃアないか、斯様な人ざかしい処で兎や斯う云えば貴公の恥お嬢様の辱になるから、甚だ見苦しいが拙宅へお招ぎ申して、一口差上げ、にっこり笑ってお別れにしたら宜かろう」
「これは至極宜しい、宅は手狭だが、是なる者は拙者の朋友で、可なり宅も広いから、ちょっと一献飲直してお別れと致しましょう」


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