GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『蠅男』
現代語化
「ほう、君が持ってるのは、映画の台本なのかい?」
「ええ、これ、暗号で書いてある映画の台本ですよ」
「どうです。第二の脅迫状には、宛名が玉屋総一郎って書いてあって、第一の脅迫状には宛名が無いというのは、これはどういう訳だと思いますか?」
「――それはすごく分かりきってるから、書く必要がなかったんじゃないですか?」
「すごく分かりきってるって?」
「それを説明するのは、ここでちょっと難しいんですが――」
「――そうかい。この屋敷にはドクトルが一人で暮らしてるのに、宛名を書かなくても、誰に宛てたか分かるだろ」
「ほう、するとあなたは――」
「――この脅迫状がドクトルに渡されたもので、そしてあの――ドクトルが殺されたとお考えなんですか?」
「なんだ、君それくらいのことは知らなかったのか。あの燃えてた骨はドクトルの体だっていうのは、すぐ分かったよ」
「じゃあ、あれはどうするんですか。三十日から旅行するってドクトルの張り紙は?」
原文 (会話文抽出)
「チャンバラはぜひ見たいと思うのですが、僕は頭脳が悪いので、そういうときにまず映画台本をよく読んでおくことにしているんでしてネ」
「ほう、君の手に持っているのは、映画台本なのかネ」
「ええ、こいつは、暗号で書いてある映画台本ですよ」
「どうです。第二の脅迫状には、宛名が玉屋総一郎へと書いてあって、第一の脅迫状には宛名無しというのは、これはどういう訳だと思いますか」
「――それは極めて明瞭だから、書く必要がなかったんだろう」
「極めて明瞭とは?」
「それを説明するのは、ここではちょっと困るが――」
「――いいかネ。この邸にはドクトルが一人で暮しているのに、宛名は書かんでも、誰に宛てたか分るじゃないか」
「ほう、すると貴下は――」
「――この脅迫状がドクトルに与えられたもので、そしてアノ――ドクトルが殺されたとお考えなんですネ」
「なんだ、君はそれくらいのことを知らなかったのか。あの燃える白骨はドクトルの身体だったぐらい、すぐに分っているよ」
「では、あれはどうします。三十日から旅行するぞというドクトルの掲示は?」