海野十三 『恐怖の口笛』 「雁金さんはそう仰有るですが、どうしてもあ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『恐怖の口笛』

現代語化

「雁金さんはそうおっしゃいますが、どうしてもあの覆面探偵は怪しいですよ」
「まずあの覆面がダメです。警察の部下の間にはすごい不満があります。このままあの覆面を許すことになると、統制上大変なことになるかもしれません」
「気にしないでくださいよ。そこまでムキになることじゃないです。しょせんただの私立探偵でしょ」
「さっきも電話しましたが、青竜王は行方が分からないんです。その前は10日間も行方が分からなかった」
「ま、いいですよ。アイツは悪いことはできない人間ですよ」
「それから行方不明といえば、あの西一郎って男ですよね。アイツは被害者の兄ってことで信用してたけど、いやー相当なものですよ。アイツは無職で家にブラブラしてたり、どこかに行っちゃって何晩も帰って来なかったり。留守番のおばあさんはお金もらってるのに、ゾッとしてるんです。昨日もそうです。蝋山教授を騙して、不明な目的のために四郎の死体を解剖させてる間に、怪しい奴を呼んで死体を奪わせた。そのくせアイツは、痣蟹が死体を盗んでいったって言ってるんです。あれは偽物の兄ですよ。本当の兄なら、死体を取り返そうと必死で追いかけますよ」
「いや、アイツは本当の兄だよ」
「私はこれまで部下や新聞記者たちにごまかしてきましたけど、今日はもうやめて、自分の考えを言います。そもそも今日はキャバレー・エトワールの事件で、青竜王の手下のチンピラ小僧にさんざんやられて、面白くないんです」
「ははは、私は雁金ですが、――」

原文 (会話文抽出)

「雁金さんはそう仰有るですが、どうしてもあの覆面探偵は怪しいですよ」
「第一あの覆面がよろしくない。本庁の部下の間には猛烈な不平があります。このままあの覆面を許しておくということになると、統制上由々しき一大事が起るかもしれません」
「気にせんがいいよ。そうムキになるほどのことではない。たかが私立探偵だ」
「いまも電話をかけましたが、青竜王は所在が不明です。その前は十日間も行方が分らなかった」
「まアいい。あれは悪いことの出来る人間じゃないよ」
「それから所在不明といえば、あの西一郎という男ですネ。彼奴は犠牲者の兄だというので心を許していましたが、イヤ相当なものですよ。彼奴は無職で家にブラブラしているかと思うと、どこかへ行ってしまって、幾晩もかえって来ない。留守番のばあやは金を貰っていながら、気味わるがっています。昨夜もそうです。蝋山教授を騙して、不明の目的のために四郎の屍体を解剖させているうちに、怪漢を呼んで屍体を奪わせた。そのくせ当人は、痣蟹が屍体を盗んでいったと称しています。あれは偽せの兄ですよ。本当の兄なら、屍体を取返そうと思って死力をつくして追駈けてゆきます」
「イヤあれは本当の兄だよ」
「私は随分部下や新聞記者の前を繕ってきましたが、今日かぎりそれを止めて、本当の考えを発表します。第一今日はキャバレー・エトワールの事件で、青竜王のところのチンピラ小僧にうまうませしめられて、面白くないです」
「はアはア、私は雁金だが、――」


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