GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『恐怖の口笛』
現代語化
「なんか誰かが叫んでたのよ。すごい事件が起きたみたいだったから、車を止めてここまで来たら、こんなことに! お兄さん大変ね。この学生さん死んじゃってるじゃない」
「死んでるっていうか、殺されてるみたいなんだよね。で、この人、実はボクの弟なんです」
「え? あなたがお兄さんなの?」
「そう。ボクが一朗で、四郎の兄なの」
「あらま、私どうしましょう」
「気の毒なことになっちゃったわね」
「さっきこの辺に怪しい人とか見かけなかった?」
「怪しい人? あなた以外に?」
「そう。牛みたいな顔にホクロのある小さい男のこと」
「いいえ。私今車を降りて、そのままここまで歩いてきただけですよ」
原文 (会話文抽出)
「貴女は自動車でここを通りかかったというのですか。よくこれが分りましたネ。……」
「ええ、それは誰かが叫んでいたからですわ。なにごとか大事件が起ったような叫び声でしたわ。だもんで、自動車を停めて、ここまで来てみると、この有様なんですのよ。貴方、たいへんだわ。この学生さん、死んでいましてよ」
「そうです。死んでいるというよりも、殺されているといった方がいいのです。これは僕の本当の弟なのです」
「ええ、なんですって。貴方がこの方の兄さんだと仰有るのですか」
「そのとおりです。僕は四郎の兄の一郎なんです」
「アラマアあたくし、どうしましょう」
「とんだお気の毒なことになりましたわネ」
「そうだ、貴方はいまその辺に見なかったですか、怪しい男を……」
「怪しい男? 貴方以外にですか」
「ええ、もちろん僕のことではないです。こう顔の半面に恐ろしい痣のある小さい牛のような男のことです」
「いいえ。あたくしは今、車を下りて、真直にここまで歩いたばかりですわ」