佐藤 一斎「言志四録」

     

評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★

>主力商品の調味料を担当する、本社でも中枢の部署だった。しかし企画の仕事は肌に合わず鬱々とした日々を送っていた。そうした中で出会ったのが『言志四録』だった。幕末の学者、佐藤一斎の処世訓集だ。

 四巻、千百三十三条の中には胸に突き刺さる言葉がちりばめられていた。

日本経済新聞 2006/11/28 朝刊 40面 私の履歴書 江頭邦雄(27) (味の素会長) より。



購入: 2007/ 3/ 5 (1)、2007/ 3/19 (2・3・4)
読了: 2007/ 5/13 (1)、2007/ 6/ 1 (2)、2007/ 6/18 (3)、2007/ 6/27 (4)

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この本からの引用、または非常に関連する記事

全 21 件

「音をたてずにタクアンを食べる」から、無の境地を考察する

記事ページ 発行: 2015年05月24日

探偵ナイトスクープ 「音をたてずにタクアンを食べる?」(2008/ 6/13 放送)


「音をたてずにタクアンを食べる」方法を、大根の筋の配置から導き出した高野山の住職。

「音をたてずにタクアンを食べる」ことができるようになるという「修行」を成功させた一番の成功要因は、音の原因を大根の筋に見つけた観察であった。

「心」でいくら考えても分からない。自然を全感覚で見つめてこそできる、不可能の可能化であった。


これが、無の境地なのではないか。


松岡 修造 氏のカレンダー「まいにち、修造! 」には、「性格は変えられない。でも、心は変えられる」という言葉がある。

「心」と「性格」を分離しているところが俊逸である。

「心」は 私、
「性格」は 感覚に対する反応の規則 であると考える。

「心」を無にしても、「性格」は、はたらき続ける。そして、「性格」=感覚に対する反応の規則 の大部分は、理性的である。なぜならば、理性的でなければ、生きて来られないはずだからである。

自動車が自分のほうに向かってきたならば、避ける――これは、自動車と自分の衝突を回避する理性的な反応である。決して、自動車が自分の体をすり抜けるという非理性的な思考からではない。

ビル屋上の縁(ふち)から先には進まない――これは、落下し死ぬのを回避する理性的な反応である。決して、空を歩けるという非理性的な思考からではない。

佐藤 一斎 の「言志後録」には、次の言葉がある:

佐藤一斎 : 言志後録 19条

欲に公私有り。情識の条理に通ずるを公と為し、条理の情識に滞るを私と為す。

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) p.35.

この欲には公欲と私欲がある。
 感情意識の動きが理性に通じている場合が公欲であり、理性が感情意識の動きに衝突し滞ってしまって通じない場合が私欲である。


無「心」において、感情意識は、理性に通じる。このときの状態は「公」であり、全ては此処にあり、全てを越えたものなりである。

 

コンピュータ内部のみを以て、人工知能を作れない理由

記事ページ 発行: 2007年05月26日

現実世界との対照による修正ができないからである。つまり真実への追随ができない。

佐藤一斎 : 言志後録 52条

>人は須らく心の腔子の裏に在るを認むべく、又須らく心の腔子の外に在るを認むべし。
(ひとはすべからくこころのこうしのうちにあるをみとむべく、またすべからくこころのこうしのほかにあるをみとむべし)

訳: 人は何としても、心が胸の中にあることを認めなければならないし、また同時に、心が胸の外にある事も認めなければならない。 (佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (二) (講談社学術文庫, 1979) p.71.)



関連:  
佐藤 一斎「言志四録」 
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

階層構造の記憶システムによる知能
http://nhm.blog75.fc2.com/blog-entry-83.html

 

為学。故読書。

記事ページ 発行: 2007年03月19日

学を為す。故に書を読む。

 佐藤一斎 : 言志録 13条

意味:

 目的: 学を為す
 手段: 書を読む

関連:
佐藤 一斎「言志四録」
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国会議員たるもの

記事ページ 発行: 2007年04月16日

佐藤一斎 : 言志録 84条

>下情は下事と同じからず、人に君たる者、下情には通じざる可からず。下事には則ち必ずしも通ぜず。

>〔訳文〕下情と下事とは別物である。大名は下情はよくわかっていなければならない。下事は知らなくてもよい。

〔語義〕○下情―下々の風俗人情。○下事―下々の仕事や言葉。

私は、市民派の国会議員が嫌いである。

国会議員は、特権階級であるべきだ。豪華な議員宿舎に安くで住んでもかまわない。その代わり、気概をもって仕事をしてもらおう。
現在の国会議員は、国民の代表者である。これは二つの意味に捉えることができる。

一つは、政治的責任を自覚しない、顔のない不特定多数の代表者として。

もう一つは、私利を求める、顔を持った現実的人間の代表者として。

明治憲法下の帝国議会は、天皇の協賛機関であった。

帝国議会議員は、政治的責任を一番にうける(責任行為は行わないが)、天皇陛下の協賛者であった。

そして、天皇を国家の最高機関あるいは国家の代名詞だと考えれば、帝国議会議員は、国益のための機関員であった。

この意味において、私は、国会議員は「天皇の協賛機関」員たるべしと思う。

関連: 
佐藤 一斎「言志四録」 
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

国会議員とは
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雲烟は已むを得ざるに聚り

記事ページ 発行: 2007年05月07日

佐藤一斎 : 言志録 124条

>雲烟は已むを得ざる[:やむをえざる]に聚り[:あつまり]、風雨は已むを得ざるに洩れ、雷霆は已むを得ざるに震う。斯に[:ここに]以て至誠の作用を観る可し。



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佐藤 一斎「言志四録」
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ベンジャミン・フランクリンの13徳目

記事ページ 発行: 2007年05月09日

佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (一) (講談社学術文庫, 1978) pp.200-201.

川上氏による、鶴見俊輔=訳 : フランクリン自伝 (旺文社) からの引用。

>
一、節制 飽きるまで食べるなかれ、酔うまで飲むなかれ。

二、沈黙 自他に益ないことを語るなかれ。むだ口をたたくなかれ。

三、規律 物はすべて場所を決めて置くべし。仕事はすべて時を決めてするべし。

四、決断 やるべきことをやろうと決心すべし。決心したことは必ず実行すべし。

五、倹約 自他に益なきことに金を使うなかれ。すなわち浪費するなかれ。

六、勤勉 時間を無駄にするなかれ。常に何か益あることに使うべし。無用な行為はすべて断つべし。

七、誠実 偽りで人を傷つけるなかれ。無邪気に公正に考えるべし。しゃべる場合もそうあるべし。

八、正義 他人を侮辱したり、あるいは与えるべきものを与えずして、傷つけるなかれ。

九、節度 極端を避けるべし。怒るに値すると思われる害を受けても耐えるべし。

一〇、清潔 身体、衣服、住居に不潔を許すべからず。

一一、平静 ささいなこと、日常の出来事に心を乱すなかれ。

一二、純潔 性交は健康、または子孫のためにのみ行い、必ずこれがためになまくらになることなかれ。身体を弱めることなかれ。また、自他の平和や信用を傷つけることなかれ。

一三、謙譲 イエスとソクラテスを見習うべし。



関連:
佐藤 一斎「言志四録」 
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

時間に関する言葉
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-577.html

 

左輔、右弼、前疑、後丞

記事ページ 発行: 2007年06月03日

「尚書大伝」

古は天子、必ず四傑あり。前は疑といい、後は丞といい、左は輔といい、右は弼といい、...

情報源:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) pp.201-202.

関連:  
佐藤 一斎「言志四録」
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智・仁・勇

記事ページ 発行: 2007年06月03日

佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) pp.233-234.

>智者は惑わず
仁者は憂えず
勇者は恐れず

追記: 元は、「論語」巻第五 子罕第九 30

>子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼

金谷 治 訳注 : 論語 (岩波文庫, 1999) p.183.

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佐藤 一斎「言志四録」 
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「論語」
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聖人は事を幾先に見る

記事ページ 発行: 2007年06月03日

佐藤一斎 : 言志後録 101条

聖人は事を幾先に見る。

せいじんはことをきせんにみる。



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中国の瑞巌禅師は

記事ページ 発行: 2007年06月03日

佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) pp.126-127.

> 無門関第十二則に次のようなことがある。昔、中国の瑞巌[ずいがん]禅師は毎日自分で「主人公」と呼び、自分で「ハイ」と返事をする。そして「目をさましていなさいよ」、「ハイ、ハイ」。そして又、「人にだまされるなよ」、「ハイ、ハイ」と答える。このようにして自分の心を検しておられたということである。



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佐藤 一斎「言志四録」   
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理性に通じた欲は公欲である。公欲を雑念に邪魔されてはならない

記事ページ 発行: 2007年06月03日

佐藤一斎 : 言志後録 19条

欲に公私有り。情識の条理に通ずるを公と為し、条理の情識に滞るを私と為す。

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) p.35.

この欲には公欲と私欲がある。
 感情意識の動きが理性に通じている場合が公欲であり、理性が感情意識の動きに衝突し滞ってしまって通じない場合が私欲である。


佐藤一斎 : 言志後録 82条

然るに自性を錮閉する者を習気と為す。而して情の発するや、毎に習気を夾みて、黏著する所有り。是れ錮閉なり。
[しかるにじせいをこへいするものをしゅうきとなす。しこうしてじょうのはっするや、つねにしゅうきをはさみて、ねんちゃくするところあり。]

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (ニ) (講談社学術文庫, 1979) p.108.

しかるに、この本性の作用をおさえ、これを閉じ込めるものが習気(くせ、雑念)である。情が発しようとするたび毎に、習気に邪魔されて、常に粘り着いてしまう



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纔に追い纔に邀うとも、便ち是れ放心なり

記事ページ 発行: 2007年06月22日

佐藤一斎 : 言志晩録 175条

>...纔に追い纔に邀うとも、便ち是れ放心なり。

わずかにおいわずかにむかうとも、すなわちこれほうしんなり。

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (三) (講談社学術文庫, 1980) p.205.

>わずかでも、過去を追ったり、来ない将来を迎えるということは、ともに、自己の本心を失っている状態である。



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国乱れて身を殉ずるは易く、世治って身を韲するは難し

記事ページ 発行: 2007年06月23日

佐藤一斎 : 言志晩録 91条

>国乱れて身を殉ずるは易く、世治って身を韲するは難し。

くにみだれてみをじゅんずるはやすく、よおさまってみをさいするはかたし。

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佐藤 一斎「言志四録」     
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小智は一事に輝き、大智は後図に明らかなり

記事ページ 発行: 2007年06月26日

佐藤一斎 : 言志晩録 249条

>...小智は一事に輝き、大智は後図に明らかなり。

しょうちはいちじにかがやき、だいちはこうとにあきらかなり。

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (三) (講談社学術文庫, 1980) p.272.

>小さな智慧は一時は輝くことがあるが、大きな智慧は後世にまで残る計画を明らかに確立する。



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佐藤 一斎「言志四録」      
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四書を読む順番

記事ページ 発行: 2007年06月28日

佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (四) (講談社学術文庫, 1981) p.20.

>朱子も四書についてこういっている。「まず大学を読んでその規模を定め、次に論語を読んで以ってその根本を定め、次に孟子を読んで以ってその発越を観、次に中庸を読んで古人微妙の処を求む」と。

つまり、
1. 大学
2. 論語
3. 孟子
4. 中庸 の順。

関連:
「大学・中庸」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1328.html

「論語」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1329.html

「孟子」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1330.html

佐藤 一斎「言志四録」
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無能の知は、是れ冥想にして、無知の能は是れ妄動なり

記事ページ 発行: 2007年06月30日

佐藤一斎 : 言志耋録 11条

>無能の知は、是れ冥想にして、無知の能は是れ妄動なり。...

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (四) (講談社学術文庫, 1981) p.21.

>実行なくして、ただ知るだけでは、妄想であるし、智慧なくして行うのは妄動である。...



関連:
力なき正義は無力
http://mkynet.hp.infoseek.co.jp/webcic/lib/inw2/inw_0312310.html#5

佐藤 一斎「言志四録」
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限りある身の 力ためさん

記事ページ 発行: 2007年07月01日

佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (四) (講談社学術文庫, 1981) p.43.
注: 引用部は佐藤 一斎によるものではない。

>憂きことの なおこの上に 積もれかし
限りある身の 力ためさん



関連:       
佐藤 一斎「言志四録」 
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恭敬を以て甲冑と為し、遜譲を以て干櫓と為さば

記事ページ 発行: 2007年07月01日

佐藤一斎 : 言志耋録 93条

...君子、恭敬を以て甲冑と為し、遜譲を以て干櫓(かんろ)と為さば、誰か敢えて非礼を以て之れに加えんや。...

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (四) (講談社学術文庫, 1981) pp.98,99.

...いわんや立派な人が、うやうやしく敬することをもって、自分を守る鎧兜となし、へりくだりゆずる心をもって、盾とするならば、誰だって思い切って無礼をしようなどとはしないであろう。...

日露戦争時の外務省お傭い外国人やリデル・ハートに通じる思想である (コメント欄リンク参照)。

関連:
初対面で好印象を与えるコツ
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/za_0506012.html#2

外交の極致
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/za_0606020.html#2

佐藤 一斎「言志四録」 
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

 

寛事を処するには捷做を要す

記事ページ 発行: 2007年07月02日

佐藤一斎 : 言志耋録 115条

>寛事を処するには捷做を要す。然らずんば稽緩に失せん。急事を処するには徐做を要す。然らずんば躁遽に失せん。

かんじょしょするにはしょうきをようす。しからずんばけいかんにしっせん。きゅうじをしょするにはじょきをようす。しからずんばそうきょにしっせん。

訳:
佐藤 一斎=著 川上正光=全訳注 : 言志四録 (四) (講談社学術文庫, 1981) p.115.

> ゆっくりしていい事は、早くにやってしまうがよい。そうでないと、滞って遅れることになるぞ。
 急ぎの事はゆっくりやるがよい。そうでないと、あわてて失敗することがあるぞ。



関連:         
佐藤 一斎「言志四録」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

 

逆境に遭う者は。順境に居る者は。

記事ページ 発行: 2007年07月04日

佐藤一斎 : 言志耋録 132条

>逆境に遭う者は、宜しく順を以て之れを処すべし。順境に居る者は、宜しく逆境を忘れざるべし。



関連:           
佐藤 一斎「言志四録」 
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-949.html

 

齋藤 孝「最強の人生指南書――佐藤一斎「言志四録」を読む」

記事ページ 発行: 2019年02月25日

Kindle 版


新書


購入: 2019/ 2/19 (Kindle 版)

関連:
佐藤 一斎「言志四録」
http://takagi1.net/books/booknet/blog-entry-949.html

 

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