山本 七平「「空気」の研究」

     

評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★



購入: 2010/ 8/ 4
読了: 2010/11/17

Twitter / @TAKAGI-1 高木 一: @yonda4 「空気」の研究 読了後、すぐに読み直した本。自分なりの内容のエッセンスは「自由を軸に据えよ」。

関連:
猪瀬 直樹「空気と戦争」

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この本からの引用、または非常に関連する記事

全 8 件

猪瀬 直樹「空気と戦争」

記事ページ 発行: 2010年03月25日



購入: 2010/ 3/25
読了: 2010/ 5/ 1

Twitter / TAKAGI-1: @yonda4 空気と戦争 「空気」は妖怪である

 

刺激等価性――「空気」の本質。感情移入と非論理をつなげるもの

記事ページ 発行: 2014年06月07日

山本 七平「「空気」の研究」中川 淳一郎「ウェブはバカと暇人のもの」では、問題行動として感情移入を捉えていた

感情移入(=共感)が非論理につながる機序(:メカニズム)に関して、岸田 一隆「科学コミュニケーション――理科の〈考え方〉をひらく」に記述がある。また、関係する、非論理を生む人間がもつ性質として"刺激等価性"が挙げられている:

岸田 一隆 : 科学コミュニケーション――理科の〈考え方〉をひらく (平凡社新書, 2011) pp.113-114.

 確率を苦手とするもう一つの理由は、先ほどから述べている、共感性の強さです。私たちは大事件や大事故や大災害の様子を報道などで目の当たりにします。すると、私たちはそれを自分の身の回りで起きたことのように共感してしまいます。...

 私たちには、確率的に起こりやすいことと起こりにくいことの区別が難しいのです。極端に言うと、どれも「同程度に起こりうる」ように思ってしまいます。確率は同じなのだから、被害が大きいリスクの方を恐れることになります。こうした心の働きは実に非論理的です。そして、それは人間の「刺激等価性」という心理現象と関係しています。

...

 人間以外の動物にはほとんど見られない人間特有の心理現象に「刺激等価性」というものがあります。「AならばB」という論理を学習すると、ほぼ自動的に「BならばA」という関係を結論するという現象です。


言い換えるならば、人間は頭の中に、「AならばB」ならば「BならばA」だと結論する、非論理的な思考回路(サブルーチン)をもっており、感情移入(=共感)の際には、その思考回路が何度も何度も使用される(そのサブルーチンが何度も何度もコールされる)。

「AならばB」ならば「BならばA」だと結論する誤りは、"ミクロな誤り"(要素の誤り)であり、それが使われて得られる、個別と一般の確率を同じだと認識してしまう誤りは、"マクロな誤り"(全体現象に表れた誤り)だと位置づけることができる。

以上から導かれる、肝に銘じるべきこと

・「AならばB」であっても、「BならばA」ではない。

・個別(確率が低い)と一般(確率が高い)を、切り分けて考えること。


 

感情移入。「空気」と「バカと暇人のウェブ」をつなぐ

記事ページ 発行: 2010年12月05日

中川 淳一郎 : ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書, 2009) p.37.

> 当件のミソは、「全国の亀田関係者」「吉野屋の店員」はまったく怒っておらず、関係のない人が怒っている点である。


同書 pp.38-39.

> 森[:森 達也 氏] ... 「もし被害者やその遺族がそれ[:オウム真理教(現、アーレフ)の信者たちの姿をとらえたドキュメンタリー作品『A』『A2』]を見たら、どう思うかを考えろ、お前はその責任取れるのか」式の批判です。一度だけ、上映会場でその疑問をぶつけてきた人がいたので、「あなたは被害者ではないのだから、あなたはどう思ったのかを僕はまず聞きたい」と質問し返したら、答えてくれないんです。……何というか、そんなことは考えたくないといった感じで、とにかく被害者が……の一点張りなんです。


山本 七平 : 「空気」の研究 (文春文庫, 1983) p.154.

> ではここで、われわれはもう一度、何かを決定し、行動に移すときの原則を振りかえってみよう。それは「『空気』の研究」でのべたとおり、その決定を下すのは「空気」であり、空気が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。従ってこの把握は、対象の分析では脱却できない。


感情移入が思考に大きな影響を与えることに関して

A・プラトカニス & E・アロンソン=著, 社会行動研究会=訳 : プロパガンダ――広告・政治宣伝のからくりを見抜く (誠信書房, 1998) p.144.

>「ケーブルテレビを導入した場合、あなたの娯楽の幅がどのくらい広がるのか、少しの間、想像してみる」ことを求めた。さらに、自分だったらケーブルテレビの利点をどのように使い、どのように楽しむかを想像させた。その結果、ケーブルテレビのサービスに関する情報を受け取るだけの場合には、一九・五%の人しか契約書にサインしなかったのに対し、ケーブルテレビの利用に関していろいろと想像するように求められた場合には四七・四%もの人がサインをしたのである。 [(自己説得)]


直観が誤りをおかしやすい点 #1.3 判断の修正に失敗する

修正のヒューリスティクス・アンカリングのヒューリスティクス

 

理性という優先事項

記事ページ 発行: 2010年12月07日

理性を持ち続けましょう。「論証によってより正確な未来を言葉で構成」しましょう (「空気」の研究 p.218)。
司馬 遼太郎 : 坂の上の雲 6 (文春文庫, 1999) p.121.

>日本の準備がロシアとかけはなれて計画的であったからである。立憲国家である日本は、練度は不十分ながら国会をもち、責任内閣をもつという点で、その国家運営の原理は当然理性が主要素になっている。ならざるをえない体制をもっていた。


山本 七平 : 「空気」の研究 (文春文庫, 1983) pp.218-219.

>公害問題が華やかだったとき、「経団連」をデモ隊で囲んで、「日本の全工場をとめろ」といった発言に対して、ある経済記者が「一度やらせればいいのさ」と投げやりな態度で言った例にその実感がある。これは、臨在感的把握に基づく行為は、その自己の行為がまわりまわって未来に自分にどう響くかを判定できず、今の社会はその判定能力を失っているの意味であろう。彼の考え方を要約すれば、「ジュッと感じない限り理解しない人たちだから、そんなことをすればどうなるかいかに論証したって耳は傾けない。だから一度やけどすればよい」といった一種の諦めの発言であり、これは戦争中にもある。そしてそれが終わって空気≠ェ消失すれば、結局また同じことを言うわけである――「日米の生産力・軍事力の違い、石油・食料の予測、小学生でもわかる計算がなぜできなかったのか……」と同じように「全工場をストップすれば一体どんなことになるか、小学生でもわかることがなぜわからなかったのか」と。


 

「知的ネット社会の設計」 #知的ネット社会の目的 関連 --- 理性に則り、実効性をもって

記事ページ

 

すっごく大事な3つのこと

記事ページ 発行: 2011年01月29日

・絶対的な価値基準やルールはない。

>この定理は「あらゆる問題で性能の良い汎用最適化戦略は理論上不可能であり、...」ということを立証している(Ho and Pepyne、2002年)。

ノーフリーランチ定理 - Wikipedia [2010年12月23日 (木) 13:44 の版]
「空気」の研究を参考せよ。


・権力を分散して物事を進めるシステムっていうのは、非常に貴重なものであって大事にしていかなきゃいけないものと思う。
――権力を分散して物事を進める仕組み - アンカテ (権力の分散。あるいは少なくとも、権威と権力の分離。)


・社会的共通資本は、わずかな入力差が大きな出力差を生み出すような種類のシステムに委ねてはならない
――内田 樹 : 街場のメディア論 (光文社新書, 2010) pp.108-109.

関連:
私は、絶対的な善行が何であるかを求めた
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-2697.html

 

「空気」を排した首脳部

記事ページ

 

論証によってより正確な未来を言葉で構成する

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