評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★
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著者の観点から完全に独立した観点を持つこと記事ページ 発行: 2010年05月03日Jr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009) pp.147-148. ※太字はブログ書き手による。 |
誤りが紛れ込んでいない真実などなく、少しの真実も含まれていない誤りもない記事ページ 発行: 2010年05月03日Jr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009) pp.309-310.
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「空気力学の歴史」レビュー記事ページ 発行: 2010年05月01日
人類はいかにして超音速機を設計できるようになったのか 「空気力学の歴史――飛行理論の発見と航空機設計への反映――アリストテレスから超音速機まで」、内容を伝えるという観点から、副題を私なりに付けるとこうなる。 本書は訳書であり、原書名は「A History of Aerodynamics and Its Impact on Flying Machines」である。直訳すれば「空気力学の歴史および航空機へのその影響」である。 以下のような言葉に興味をもつ人は、この本を興味を持って読めると考える。 航空機・流体力学・科学史・技術史・工学・科学から技術へ(科学の技術移転)・経験と科学 ●大要 本書には、流体力学の黎明(数式表現以前)からの空気力学(航空分野の流体力学)の発展史が書かれている。 乱暴に言えば、紀元前から始まる、超音速機開発史である。人類が、どのような発見をし、時に間違いをおかし、どのような実験装置を作って、どのような知見を獲得し、人と人・人とモノがどのような刺激をして、最終的に超音速機を設計できる状態になったのかが書かれている。 この発展史は、紀元前350年のアリストテレスによる、連続体と、連続体中を動く物体に働く抵抗の概念(p.21)から始まる。最終章は超音速機を主に扱っており、1950・60年代の極超音速飛行・計算流体力学(p.574)で終わる。 なお、本文の折り返し地点は、ライト兄弟(動力飛行:1903年)について書かれている。 ● 特徴1: 各年代の最新の空気力学が、当時の航空機設計にどのように活かされていたか 各年代の最新の空気力学が当時の航空機設計にどのように活かされていたかについて述べられている。筆者は以下のとおり宣言している。 「本書ではある重要な質問に答えることを心がけている。その質問とは、ある時代の空気力学の最先端技術が、実際にその時代の飛行機の設計にどの程度取り入れられていたのかということである。(p.vi)」 これは、経験よりも理論に得意をもつエンジニアにとって、関心をもつ部分であろう。私も関心を持った。 本書は以下を主張している。 理論空気力学の知見を参考にせず(応用空気力学は参考にされた)、技術者リリエンタールとライト兄弟が飛行機をまず飛ばす。実機は科学者を飛行機にひきつけ、空気力学が大いに発達する。しかし、設計者はその間に経験を積み、経験に基づく設計に自信をもち、最新の科学(学術研究)の成果が設計に反映されない。 しばらくして、実機にひかれた科学者は、科学と設計者の間の橋渡しを果たすようになる。こうして、「それらの橋を渡る情報量と渡る流れの速さは設計者がどれほど必要としているか、つまり必要性に依存(p.559)」するようになった。 ● 特徴2: 空気力学の発展に人の人生あり 本書に登場する人は、帯に「抜粋」として挙げられているだけでも 40名にのぼる。各人の略歴が脚注や表ではなく、本文中に書かれているため、各人の人生を空気力学の発展史に組み込んで読者は読むことができる。 同時代の人とのつながりについても言及されており、例えば、ナビエは、フーリエの弟子であり且つ友人であった(p.115)ことが書かれている。 |
どのような状態になればモノを設計できるのか――知と設計記事ページ 発行: 2010年05月01日
設計とは、要求性能を大きさ・形・材質の組み合わせに変換する逆解析である。逆解析手法が貧弱であるため、設計では仮に置いた設計解から性能を予測する行為が繰り返し行われる。 発想の元: いずれもJr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009)から。 p.217.
p.275.
p.441.
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設計技術発展の方法(1) : 実験装置を発展させる記事ページ 発行: 2010年05月01日
戻る 発想の元: いずれもJr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009)から。 p.289.
p.353.
pp.405-406.
← pp.401-402. ライト兄弟は、計測したグライダーの性能が自分達の風洞実験データに基づく計算結果と完全に一致したことにより、リリエンタールの表から解放された。(p.306.) |
設計技術発展の方法(2) : 実機を作り、機能させる記事ページ 発行: 2010年05月01日
戻る 発想の元: いずれもJr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009)から。 オットー・リリエンタールの「標準型グライダー」を購入したニコライ・ジューコフスキー(p.207)。なお、ジューコフスキーはリリエンタールを訪問して、彼の飛行を見ている。(p.208) ルイ=チャールズ・ブレゲは、1908年にフランスで行われたウィルバー・ライトの飛行実演に刺激された(p.416)。 p.340
関連: ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.110.
補足の発想の元: p.5.
p.208
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設計技術発展の方法(3) : 科学に向かい合う記事ページ 発行: 2010年05月01日
戻る 発想の元: いずれもJr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009)から。 pp.342-343.
p.423.
p.559.
関連: 100年前の技術から現代への教訓を学ぶ(15.365 Disruptive Technology) - My Life in MIT Sloan |
航空における操縦・制御の重要性記事ページ
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