ですが,私たちや私たちが日常目にしているこの世界だってミクロな物体でできています。見えないミクロな世界から,どのように目に見えるマクロな世界が立ち現れるのか。これは「観測問題」と呼ばれ,ミクロな世界のありようを抜きにしては語れません。量子力学の誕生以来,長く議論が続いてきました。
posted at 12:59:20
とはいえ,見えない世界をどう説明しても,スクリーンに何が現れるかは変わりません。現実に問題になるのは観測で見えるものだけなので,見えない世界をどう思い描くかは,畢竟「好みの問題」とも言われてきました。
posted at 12:59:17
人によって説明が違うのは,量子力学の捉え方に違いがあるためです。現実に存在する物についての理論だと考えるか,それを見る者の主観について語る理論だと見るか,どちらでもない第三の道を取るか。ほかにも様々な違いがあって,研究者の数だけバリエーションがある,といってもいいほど。
posted at 12:59:01
そう言われても,問いたくなるのが人情です。研究者もそこは同じで,実際に聞いてみれば,色々な答えが返ってきます。飛んでいる電子は「2つの窓を同時に通っている」「雲か波のようにあいまいな状態である」「情報としてのみ存在しており実在はしない」「無数の平行宇宙で異なる軌道をたどる」etc.
posted at 12:58:56
2つの窓を通る波動関数とは何なのか。波動関数で表される観測前の電子は,実際のところどうなっていたのか。量子力学はそれを語りません。観測したときに何が見えるかを教えてくれるだけ。観測前のことは「問うてはいけない」と言われることもあります。
posted at 12:58:51
では,この電子は,スクリーンに到達するまで,一体どこで何をしていたのか? 窓を通って飛んできたような気がしますが,電子は1つ,窓は2つです。縞模様は2つの窓を通った電子の波動関数がどうしが干渉することによって生じます。
posted at 12:58:49
これを何度も繰り返すと,スクリーンには電子が何度も来るところと,ほとんど来ないところが交互に生じ,縞模様が現れます。発射された電子がスクリーンのどこにどれくらいの確率で到達するかは,量子力学で正確に予測できます。
posted at 12:58:47
物理業界のきっての人気者,ファインマンが「量子力学の真髄」と呼んだ有名な実験があります。2つ並んだ窓に向けて電子を1個ずつ発射し,その先のスクリーンで受け止める実験です。電子はスクリーンのどこか一点に到達し,ピカッと光ります。
posted at 12:58:45
<前の投稿日 2025/02/25 - 次の投稿日 2025/02/27>