燃料電池ワールド Vol.959 (2011/07/13 08:50)

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□燃料電池ワールド Vol.959
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■2011年07月13日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■2011年07月12日のWEB LINK NEWS
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2011/07/12 日立金属、インターコネクタ材を新開発---燃料電池の寿命を向上(レスポンス)

 日立金属は7月11日、耐酸化性と強度を向上した固体酸化物形燃料電池(SOFC)用素材として金属インターコネクタ材を開発した。燃料電池の普及に向けて高性能素材を供給する。

 このSOFCを構成する重要部品インターコネクタは、セル同士を電気的に接続する役割を持つ。材料に要求される特性は、作動温度での長時間の耐酸化性、良好な電導性、電解質に近い熱膨張係数がある。しかし、一般的なステンレス鋼では耐酸化性が不足し、耐酸化性の優れたNi基合金は熱膨張係数が大きく、アルミ添加合金では酸化被膜の導電性が不十分などの課題があった。

 今回これらの要求特性を満たすインターコネクタ材として従来製品よりもさらに導電性、耐酸化性、強度を向上させた『ZMG232J3/ZMG232G10』の開発に成功した。

 燃料電池の寿命の向上に貢献するほか、燃料電池の構造を長時間維持する。また、インターコネクタでの電圧の低下を低減し、発電特性の向上に貢献する。セルとセルとの積層を可能とし、電力負荷に追従した運転にも対応する。

 ZMG232G10は特殊元素の添加により、ZMG232Lに対してSOFCセルの劣化の原因となるクロム蒸発をやや抑制した材料となる。

 7月からサンプル出荷を開始する。2015年度に5億円、2020年度には50億円を売上げを見込んでいる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110712-00000000-rps-bus_all

2011/07/12 NIMS、TiO2のナノ構造のまま高機能なTi2O3へ変化させる合成技術を開発(マイコミジャーナル)

 物質・材料研究機構(NIMS)の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の冨中悟史研究員と辻本吉廣研究員は、二酸化チタン(TiO2)のナノ構造を保持したまま、内部の結晶構造が異なる還元型酸化物(Ti2O3)へと変化させる合成に成功したことを明らかにした。同成果は、大型放射光施設SPring-8に設置されたNIMSビームステーション「BL15XU」と共同で行い、独化学会の国際誌「Angewante Chemie International Edition」に掲載された。

 チタンの還元型酸化物は、電子伝導性や可視光吸収などの魅力的な特性が知られており、ナノ構造を持たせることができれば太陽電池や燃料電池など幅広い応用が期待できるものの、従来の合成法では水素ガス気流中、800〜1100℃の高温で還元を行う必要であり、出発原子がナノサイズであっても、粒子が熱による原子拡散により粒子成長してしまうため、ナノ構造を有する材料の合成は困難であった。

 今回、研究チームでは、正方晶系のルチル型TiO2のナノ粒子(10〜30nm)を、低温で強い還元力を示す水素化カルシウム(CaH2)粉末とともに反応させることにより、これらの課題解決を図った。

 ルチル型TiO2とCaH2をよく混合したペレットを真空封入し、従来の還元法よりも350℃で15日間の反応させたところ、試料が還元型チタン酸化物に共通して見られる黒色を呈することが判明した。その試料を大型放射光施設SPring-8のNIMSビームライン(BL15XU)に設置された高分解能放射光粉末X線回折装置を用いて測定を行った結果、出発物質とは明らかに異なる回折パターンが得られ、還元型チタン酸化物のTi2O3(六方晶系)が単相で得られていることが判明した。

 さらに透過型顕微鏡で粒子の形状を観察したところ、反応前後で粒子の形体とサイズが維持されており、ナノ構造を有する還元型チタン酸化物の合成に成功したことが明らかとなったという。

 今回開発された手法を用いると、他のチタン酸化物のナノ構造、例えばナノワイヤなどを用いた場合においても、ナノ構造を維持したままの還元反応が達成できるものと考えられ、還元型チタン酸化物の幅広い合成が可能になることが期待できるという。そのため、将来的にはその電子伝導性や可視光吸収特性を活かし、「人工光合成材料への応用」「貴金属フリーの電極材料・配線材料」「燃料電池などの触媒の担体」などへの応用が期待できるとのことで、研究チームでは現在、還元反応機構の詳細や合成したナノ構造を有する還元型チタン酸化物の特性評価を進めているとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110712-00000052-mycomj-sci

■海外ニュース
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<定置用電源>
●オクタゴン、燃料電池によるコージェネでニューヨークで初めての住宅用建物となる(2011年05月27日)

 オクタゴン(Octagon)は、ニューヨーク州イースト・リバーに浮かぶルーズベルト島(Roosevelt Island)にある。1841年に完成した歴史的建造物だが、現在は14階建て500室の高級コンドミニアムとして利用されている。このアパートは、グリーンビルディング評価制度(Leadership in Energy and Environmental Design〓:LEED)によるグリーン化の格付けで「シルバー」を得ているが、このほど、ニューヨーク州で最初の、電力と熱を併給するコージェネを完備した住宅用建築物となった。

 ここで使われたコージェネのシステムは、UTCパワー社(UTC Power)の400kW級燃料電池を導入している。この事業は、ニューヨーク州エネルギー調査開発局(New York State Energy Research and Development Authority:NYSERDA)の報奨金120万ドルを得て実施された。電力の供給に加えて、燃料電池が産み出す熱は、建物の暖房と家庭で必要とする温水の需要に十分に応えられるだろう。
http://www.utcpower.com/pressroom/pressreleases/first-fuel-cell-to-power-residential-building-in-new-york
http://www.octagonnyc.com/
[参考1]グリーンビルディング評価制度(Leadership in Energy and Environmental Design〓:LEED)については、↓
www.env.go.jp/air/report/h21-06/ref03_07.pdf
[参考2]オクタゴンの賃貸物件の一例
家賃 $1,875
入居日 即
最寄り駅 F線 Roosevelt Island 駅 島内バスで5分
間取り スタジオ、1 バスルーム
家具 無し
タイプ Rental Building
施工 1839年
総戸数 500戸 14階建て
設備 Garage, Health Club, Pets, Pool
ビルディング情報
◆歴史的建造物を改築した荘厳なビル
◆美しいマンハッタンの夜景が楽しめる
◆環境に配慮したビル
◆テニスコート、プール、フィットネスセンター、ビリヤードルーム、カフェなど豊富な施設完備。
(これが、「3 ベッドルーム、2 バスルーム。面積 1400sqft。家具 無し」では、家賃 $4,200となる。)
●コンドミニアム 日本の分譲マンションと同じタイプ。契約は物件の個人オーナー(貸主)と行われます。貸主と借主の契約締結後、ビルに委託されている管理会社(マネジメントカンパニー)に書類一式を提出して入居認可(Approval)をとる必要があります。契約から認可が下りるまでの期間は、3日から2ヶ月です。
http://www.redacinc.com/NewYork/BuildingUnit/9c76795f-ff0b-4e6a-95bc-98a81c2bf971

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆福岡水素エネルギー戦略会議 総会・記念講演会【講師決定!】【再掲】

 7月22日(金)平成23年度の総会・記念講演会を開催します。

 今年の記念講演会は、今年5月、北九州ステーションを拠点として、日本で初めて「燃料電池スクーター」の実証を開始したスズキ株式会社開発本部開発企画部 真柴岳彦部長から、水素燃料電池スクーターの開発、実証を進めるスズキ株式会社の取り組みをご紹介いだきます。

 また、分散型電源として家庭用から業務用等、様々な用途が期待される次世代型燃料電池(固体酸化物形燃料電池:SOFC)について、九州大学水素エネルギー国際研究センター 佐々木一成センター長にご講演いただきます。

 総会では、戦略会議活動として今年3月に実施し、韓国の政府機関、企業を訪問した「韓国水素産業調査団」の調査結果、2015年の燃料電池自動車普及開始に向けた今後の取り組みなどを事務局からご報告します。

 情報交換・懇親の場となる交流会とあわせて奮ってご参加ください。
◇日時:7月22日(金)14:00?18:00
◇場所:西鉄グランドホテル(福岡市中央区大名2-6-60 TEL(092)771-7171)
     アクセス http://www.grand-h.jp/access/
◇日程:
14:00?15:00 『福岡水素エネルギー戦略会議総会』
  戦略会議23年度事業計画、「韓国水素産業調査団」報告等
15:10?16:40 『記念講演会』
  記念講演1「燃料電池二輪車開発でのスズキの取り組み」
    真柴岳彦氏(スズキ株式会社開発本部開発企画部長)

  記念講演2「次世代型燃料電池への期待と産学連携による研究開発の動向」(仮題)

    佐々木一成氏(九州大学水素エネルギー国際研究センターセンター長)16:45?18:00『交流会』
  ※当日、5000円/人のご負担をお願いいたします。
■詳細・申し込みはこちら http://www.f-suiso.jp/H23soukai.html

☆福岡水素エネルギー人材育成センター
●第4回高度人材育成コース【募集開始!】【再掲】

 8月24日(水)から26日(金)までの3日間、大学生、大学院生、若手研究者等を対象とした「高度人材育成コース」を開催します。

 燃料電池産業や水素エネルギー研究の最新情報をサマースクール形式により幅広く講義することで、将来を担う若手研究者の育成を目指します。世界で活躍する研究者、企業の最前線で活躍する技術者が、最新動向を分かりやすく講義します。
 皆様のご参加を心からお待ちしております。
◇対象 大学生・大学院生、若手研究者等(原則35歳未満)
◇開催日程 8月24日(水)から8月26日(金)の3日間
◇会場 【1、2日目】九州大学伊都キャンパス稲盛財団記念館(福岡市西区元岡)

    【3日目】水素エネルギー製品研究試験センター(福岡県糸島市富)
◇受講料 無料(交通費、宿泊費は受講者負担)
◇交流会(名刺交換会)[初日の講義終了後。全員参加]

  参加無料 ※社会人(大学生・大学院生以外)は2000円/人
◇募集人数(定員) 40名
◇申込締め切り 8月17日(水)(定員に達し次第、募集を締め切ります)
◆コースの詳細・申し込みはこちらから(福岡水素エネルギー戦略会議HP)
  http://www.f-suiso.jp/4th_koudo.html

●福岡水素エネルギー人材育成センター 平成23年度の開催予定

 今年度から、新たに「経営者(燃料電池自動車)コース」を追加。
 従来の「高度人材育成コース」も近日募集開始!
◇平成23年度の開催予定はこちら(福岡水素エネルギー戦略会議HP)
  http://www.f-suiso.jp/jinzai.html

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