燃料電池ワールド (2002/12/17 11:20)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.075 2002/12/17発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆次号は、12月25日(水)になります。

 PEM−DREAMの事務所引っ越しのため、次号の発行は25日になります。新しい住所と電話番号などは次号でお知らせします。

■PEM−DREAMニュース
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○経団連の水素の規制緩和要望

 経団連は10月15日、規制改革の要望をまとめ、政府に提出した。そのうち、水素に関する要望項目は以下の通りである。

○燃料電池発電設備の小電力発電設備扱い
(規制の現状)現行の小電力発電設備は以下の通りとなっている。
・20kW未満の太陽光・風力発電設備
・10kW未満の水力・内燃力発電設備
(要望)20kW未満の燃料電池発電設備を小電力発電設備とすること。(理由)燃料電池は、容量に関係なく事業用電気工作物に位置付けられ、電気主任技術者の選任および保安規定の提出が義務づけられている。今後、小容量燃料電池の一般家庭等への普及が期待されるが、現行制度は大きな障害となる。

 20kW未満の小容量の燃料電池については、構造上かつ機能上安全性が高く、また業界団体による自主安全基準の作成等、保安体制の整備が進められており、小電力発電設備に位置付けることが可能である。

 小型燃料電池コージェネレーションが一般家庭等に普及することにより、二酸化炭素排出抑制、燃料供給源の多様化によるエネルギー安全保障の確保が期待できる。(規制の根拠となる関係法令等)電気事業法施行規則第48条第4項(所管官庁)原子力安全・保安院

○燃料電池の建築物からの離隔距離【新規】
(規制の現状)燃料電池発電設備は、家庭向けの小型のものであっても、火力発電設備に準ずるとされ、建築物から3m以上の距離を保たねばならない。消防長または消防署長が火災予防上支障がないと認める場合はこの限りではないが、例えば東京都火災予防条例では、離隔距離は最小0.6mとなっている。
(要望)燃料電池の建築物からの離隔距離を、家庭用ガス給湯器(12〜70kW)と同等の、上方60cm、側面15cm程度とする。
(理由)現在各社が開発中の家庭用燃料電池システムは、キュービクルの表面温度が60度C以下であり、木壁面温度も100度C以下になるため、離隔距離を0.1mとしても火災予防上問題ない。

 上記見直しにより、家屋、マンションなどに容易に設置できるようになり、家庭用燃料電池の普及促進につながる。
(規制の根拠となる関係法令等)対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令第5条、第16条第五号(平成14年3月6日公布、平成15年1月1日施行)、東京都火災予防条例第12条、他
(所管官庁)消防庁

○燃料電池自動車の普及促進に向けた諸規制の見直し(水素ガス搭載車に係わる基準等の見直し)
(規制の現状)1.水素ガス搭載車については、水素ガス搭載車に応じた基準等が定められていないため、一般の高圧ガス容器と同様の規制を受ける(天然ガス搭載車両については、天然ガス搭載車両に応じた容器の基準や検査周期等が定められている)。その結果、例えば、車載状態のままでの検査や車検周期に合わせた検査が出来ない(天然ガス搭載車両では可能)。
2.道路運送車両の保安基準や高圧ガスの移動に係わる保安基準が仕様規定で設定されており、設計等の自由度が制約され、技術の発展を阻害する惧れがある。(要望)1.燃料電池自動車の普及に向けて、水素ガス搭載車両に応じた基準等を早急に整備する。具体的には、天然ガス搭載車両に対する規制緩和を行った経緯があり、少なくとも同等の取り扱いを認める。
2.安全に関する基準は、基本的にテスト方法を定めてそれに順じた上での基準値を満たすといった形の性能規定とする。
(理由)1.燃料電池自動車の普及に向けて、初期の実証試験時期に特に課題となる規制であり、現実的には先行している天然ガス搭載車両と同等の緩和が出来れば良い。さらにその後、より進んだ緩和を実績ベースで行い、2010年頃には現在のガソリン車並みの規制にして頂きたい。
2.性能規定による基準とすることにより、システムトータルでの安全を確保する上でのより幅広い技術応用による進化が期待される(仕様規定を満たしていなくても実質的に安全が確保されることが証明できれば良く、このために新たなアイデアが出てくる可能性が高い)。
(規制の根拠となる関係法令等)高圧ガス保安法第41条、第44条、第48条、容器保安規則第3条、第7条、第24条、容器則細目告示第18条、第19条、第20条、第21条、道路運送車両法、道路運送車両の保安基準第17条、第56条4項(所管官庁)経済産業省原子力安全・保安院、国土交通省

○燃料電池自動車の普及促進に向けた諸規制の見直し(水素ステーション設置に係わる基準等の見直し)
(規制の現状)1.水素ステーションについては、水素ステーションに応じた基準等が定められていないため、一般の高圧ガス設備と同様の規制を受ける(天然ガス・ステーションについては、天然ガス・ステーションに応じた基準が定められている)。その結果、例えば、デイスペンサーから敷地境界まで11.3〜17m以上の距離を求められたり、保安主任者等複数の資格者の選任が求められる(天然ガス・ステーションの場合は、道路境界まで5m、資格者は1名で可)。
2.建築基準法の用途規制により、水素ステーションが設置できるのは実質的に工業地域及び工業専用地域に限定されている(住居系・商業系における貯蔵許容量は10
〜20台分、準工業地域では約100台分となっている)。
(要望)1.燃料電池自動車の普及に向けて、水素ステーションに応じた基準等を早急に整備し、少なくとも、天然ガス・ステーションと同等の取り扱いを認める。2.建築基準法の用途規制(高圧水素の貯蔵量規制)を、天然ガス・ステーションと同等レベルまで緩和する。
(理由)燃料電池自動車の普及に向けては、特にインフラ整備が必要不可欠であり、また、実際の使い勝手も考慮すると市街地地区にある程度の量を貯蔵できるようにしたい。
(規制の根拠となる関係法令等)高圧ガス保安法第8条、一般高圧ガス保安規則第6条、第7条、第7条の2,第8条、第22条、第23条、第24条、第66条、第69条、第79条等、建築基準法第27条、第48条、施行令第116条(所管官庁)経済産業省原子力安全・保安院、国土交通省

○燃料電池自動車の普及促進に向けた諸規制の見直し(水素ガス搭載車の走行に関する規制の見直し)
(規制の現状)現行の道路法では、水底トンネルの構造の安全と交通の危険を防止するとの観点から、危険物を搭載する車両の通行が制限されており(水素については、液体水素で600kg以下、水素ガスの場合60立方メートル以下)、トンネル内等の燃料輸送及び高圧ガスを車載している燃料電池車のキャリアカーでの移動に際して問題となる。
(要望)安全性の確認を行いつつ道路運行上の制約を出来る限り緩和し、燃料電池車であるが故に通れない道路は基本的に無くしていただきたい。
(理由)燃料電池車が普及するためには、道路をどこでも走行可能とすることが不可欠(普及を阻害する)。
(規制の根拠となる関係法令等)道路法第46条施行例19条13
(所管官庁)国土交通省

※本要望については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(平成14年6月25日閣議決定)において、「燃料電池については、内閣官房及び関係府省は、平成17年を目処に安全性を前提としつつ、包括的な規制の再点検を行う」とされているところであるが、速やかに検討が実施され、要望が早期に実現されるよう要望する。

■イベントニュース
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☆JEVA電気自動車フォーラム(公開講座は下に)
○日 時 12月18日(水)〜19日(木) 国際連合大学 
○会 場 東京・国際連合大学
○主 催 財団法人日本電動車両協会
○定 員 フォーラム300名 公開講座150名(定員になり次第締切)
○登録料 会員15000円 非会員20000円 学生8000円
     JEVA公開講座は無料
○フォーラム・プログラム
・1日目 12/18(水)
10:00 開会挨拶 (財)日本電動車両協会 理事長 宗国旨英
10:10 来賓挨拶 経済産業大臣 (予定)
10:20 基調講演1:燃料電池政策の位置付けと国際協力

 米国エネルギー省 エネルギー効率・再生可能エネルギー計画ディレクター
  Tom Gross 欧州連合
 経済産業省製造産業局
11:50  基調講演2:JHFCプロジェクトの目的と意義
 実証試験推進委員会副委員長 慶應義塾大学 教授 石谷久
14:00 パネルセッション?:FCV実用化へのカウントダウン
 司会  慶應義塾大学 教授 石谷久
 パネリスト

  General Motors Erhard Schubert DaimlerChrysler 燃料電池プロジェクト統括副社長
   Ferdinand H. Panik
  ?本田技術研究所 上席研究員 川口祐冶
  経済産業省自動車課
16:10 パネルセッション?:水素・燃料電池社会を目指して
 司会  慶応義塾大学 教授 茅陽一
 パネリスト
  早稲田大学 教授 大聖泰弘
  トヨタ自動車? 技監 中村徳彦
  コスモ石油? 取締役研究開発部長 近藤直正
  経済産業省新エネルギー対策課
 バックアップパネリスト

  米国エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー計画ディレクター
   Tom Gross 欧州連合
・2日目 2/19(木)
09:00 EVS-19参加報告 (財)日本電動車両協会 常務理事 増永邦彦
09:20 EVS-19基調講演 本田技研工業(株)  専務取締役 萩野道義
09:40 EVS-19セッション?:EV
  司会  東京電機大学 藤中正治

 「平面状の床面と電子制御用インターフェイスを有する超小型多目的EVの開発」慶應義塾大学 大前学

 「センサレスベクトル制御駆動・トランスミッションレスEVの開発」神奈川大学 新中新二

 「ピューズ21小型電気自動車駆動システム」?東京アールアンドデー 大沼伸人
 「1充電走行700kmの実用EV」東京電機大学 藤中正治

 「EVのフリート使用におけるエネルギー効率」東京電力? 丸橋隆志

 「駆動輪のモータ制御によるEVの2次元運動安定化」宇宙科学研究所 坂井真一郎
12:55 EVS-19セッション?:HEV
  司会  東京大学 堀洋一
 「超小型HEVの開発と性能評価」早稲田大学 大聖泰弘

 「小型トラック用シリーズ/パラレル式ハイブリッドシステムの開発」三菱自動車工業? 梁瀬尚志

 「HEVの燃料消費率試験法:精度の確認と改善について」産業技術総合研究所 清水健一

 「HV駆動用PMモータのフェールセーフ技術に関する検討」トヨタ自動車? 佐々木正一

 「4ドアセダン用モータアシストシステムの開発」?本田技術研究所 渋谷篤志

 「トヨタ・クラウンマイルドHV用駆動インバーターとパワーキャパシタの開発」日本ケミコン?  大田完治
15:00 EVS-19セッション?:電池、FC
  司会  産業技術総合研究所 清水健一

 「電動駆動用アドバンストVRLA電池の開発と商品化」松下電池工業? 梶川哲志
 「HEV用Li-Mn電池制御技術」?日立製作所 江守昭彦

 「クラウンマイルドHV用電池システムの開発」トヨタ自動車? 鈴井康介

 「FCVにおける燃料ガス中の不純物がもたらす悪影響について」群馬大学 紙屋雄史

 「車載用ダイレクトメタノール形燃料電池システムの比較」信州大学 山田興一
16:50 EVS-19セッション?:キャパシター他
 司会  武蔵工大 高木靖雄

 「バス・トラック・FCV用キャパシタハイブリッドシステムECS」岡村研究所 岡村廸夫

 「ISG/アイドリングストップ用エナギー・キャパシタ・システム(ECS)」?パワーシステム 三井克司
 「EV/HEV用Nd-系磁石の強度特性」?本田技術研究所 梛木孝昭

 「超小型EVのLCI及びライフサイクルコスト分析」三井情報開発? 小高博章
 「EV・HEVの購入費補助事業」日本電動車両協会 武石哲夫
18:20 閉会挨拶 (財)日本電動車両協会 専務理事 榎本陞
☆JEVA公開講座
○日 時 12月20日(金)
○会 場 虎ノ門パストラル
10:00 日本の環境・エネルギー問題 専務理事 榎本陞
10:40 電気自動車・ハイブリッド車概論 展示広報G長 岩瀬修

                    技術研究G長 広瀬久士
11:40 燃料電池自動車概論 FCEVセンター 長 丹下昭二
12:20 普及への取組み 常務理事 増永邦彦
○お問い合わせ・お申し込み
フォーラム、公開講座とも
 (財)日本電動車両協会 技術研究グループ 高橋雅子
  〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-22-15 虎ノ門NSビル2階

  電話03−3503−3781 FAX03−3503−8493
  E-mail takahasi@gw.jeva.or.jp

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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

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 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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