燃料電池ワールド (2002/05/22 12:30)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.049 2002/05/22発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

☆23日(木)から25日(土)まで、都合によりメールを見ることができません。ご了承下さい。

■お知らせ
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◇第3回燃料電池市民講座 6月8日(土)午後2時から(再掲)
「テレビ番組の製作現場で見た燃料電池」 ゲスト=(株)NHK中部ブ レーンズ
 富永良治氏

 18日と21日に放送されたNHK番組「実用化を目指す燃料電池の社会」のディレクターをつとめられた富永氏に、海外取材のお話や、番組づくりの裏話などをお聞きします。また、富永氏は、「燃料電池情報のスピードが非常に早いので、自分の情報も古くなっているのでは・・・」とおっしゃっていますが、そこら辺の考えについてもお聞きしようと思います。例によって、1時間以上の懇談の時間がありますので、いろいろな角度からの理解が深まります。

 番組を見れなかった方は、ぜひご参加下さい。ビデオを流します。
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩10分くらい。地図をお送りします)
○参加費 会員は無料。非会員は2000円。
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「第○回燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
  メール info@pem-dream.com  FAX 03-5408-3252

◇メルマガ創刊1年目の記念プレゼント(最終)

 連休はメルマガの休刊があるので、ホッとしながら忙しくしていたら、『燃料電池ワールド』が1年を過ぎていたのに気が付いた。「何かしなくちゃ」と考えたが、今さら企画内容で何かできる状態ではない。そこで、プレゼントでお茶を濁しましょう。

 今回はいろいろなことを行っているので、豪華版(?)。プレゼントするものは3種類。
1.大同メタルの「燃料電池組み立てキット」 1つ
2.家庭でできる燃料電池手作りキット    5つ
3.燃料電池CD−ROM画像集       5つ

 ご希望の方は下記のメールに、希望するものの上記の番号、氏名、送り先、電話番号を明記して、メールして下さい。応募者多数の場合は抽選になります。このご案内はこれで終わります。
○締切 5月25日(土)
○メールアドレス info@pem-dream.com

◇PEM型燃料電池の組み立てキット販売を始めました。(再掲)

 燃料電池を知っていただくためには、実物にふれていただくのが一番。永らくそのための商品を探していたところ、大同メタル工業株式会社のご協力をいただいて、PEM型燃料電池の組み立てキットを提供できるようになりました。

 自動車や家庭用に開発されている固体高分子膜(PEM)型燃料電池の実物です。3セル構造で出力電圧2Vが可能で、単セル、2セル、3セルのそれぞれの発電量の違いなども実験できます。水素の供給はガス缶から行い、プッシュボタンをちょっと押すだけで発電します。効率よく供給すれば100回近く使えます。

 燃料電池の原理が分かり、組み立ての楽しみも味わえる(分解もできます)このキットは、子どもたちも組み立てられるので、ホビーとしても、教育用としてもお役に立てるでしょう。しかも、本格的な燃料電池としては世界一安い価格を設定できました。NPO特別価格として、1セット9500円(税、送料込み)です。どうぞ、ご利用下さい。

 お問い合わせ、お申し込みは、メールまたはFAXで。商品の画像はホームページでご覧下さい。
 ・メール info@pem-dream.com
 ・FAX 03-5408-3252
 ・URL http://www.pem-dream.com

■PEM−DREAM NEWS
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◇日本膜学会 と第2回市民講座の報告
〈日本膜学会〉

 失礼だが、燃料電池を知らなかったら、一生知ることはなかったと思われる「日本膜学会第24年会」に行った。5月17日に燃料電池膜シンポジウムがあったからだ。

 この情報は、膜学会から送られてきた。案内のポスターと会誌が入っていた。どうしてPEM−DREAMにきたのか分からなかったが、「膜? 学会?」と思いながら見ていくうちに、知っている方の名前が出てきたので、早速、膜学会事務局に案内の掲載と参加申し込みを行った。

 事務局からはすぐに掲載OKの返事があった。そして、膜学会の広報手段が弱いということが書かれていた。私たちがどのくらい役立てたかはわからないが、毎回繰り返していけば少しは意味のあることとなれるだろう。そんなつもりで掲載させていただいたが、日時の関係で今回は2度しか掲載できなかった。

 当日、会場となった日本科学未来館は案内のサインが少なく、迷路のようで、初めての者には使いにくかった。会場には、大学生から学会の長老とおぼしき人まで70人近くが参加していた。若い研究者が多かった。
 以下、発表者とテーマを挙げておこう。
・固体高分子形燃料電池の概要           内田裕之(山梨大学工学部)
・フッ素系高分子電解質膜の開発動向        寺田一郎(旭硝子中央研究所)
・炭化水素系高分子電解質膜の可能性と問題点    陸川政弘(上智大学理工学部)
・高分子電解質膜設計のためのシステム的アプローチ 山口猛央(東京大学大学院工学系研究科)
 特に印象に残ったのは、燃料電池が総合的な知識を必要としていることだ。関係する学問分野を挙げてみると、有機化学、高分子化学、材料科学、電気化学、物理化学、化学工学、機械工学、電気・電子工学、システム情報工学等々がある。大学に総合工学としての「燃料電池工学」というような態勢を作り、若い専門家を育成することが急務ではないか、という問いかけも提起された。

 また、高分子膜の性能向上のために新しい試みが始められていること、しかし、研究室のレベルでは短時間の実証しかできず、そのアイデアは、引き続き長期間の実証研究を引き受ける受け皿が必要になる、という現実があることがわかった。

 膜の研究はまだ始まったばかりで、いまPEM形燃料電池で使われているものも、食塩の電気分解で苛性ソーダを作るときに使うために開発されたものを応用しており、まだ、燃料電池が要求されている性能に応えられるレベルではない。業界用語らしい「膜屋」とか「機会屋」という言葉を聞いたが、幾分自嘲的な響きを感じたのは自分だけだろうか。

 でも、とにかく頑張っていただきたいのだ。燃料電池に期待している人々は、熱い想いと、中には人生を賭けようとするくらいの魅力に取り付かれているのだから。

〈第2回市民講座 〉

 ひと月は早い。この市民講座は先月から始めたものだが、月替わりのイベントは初めてなので、そう感じるのかもしれない。今回は、燃料電池実用化推進協議会の赤松英昭氏にゲストをお願いした。

 推進協議会はあまりマスコミに載る名前ではないので、知る人ぞ知るというところがあるが、実は大変重要な、ある意味では燃料電池の行く末を決定づける仕事をしている。

 その概要は、まず赤松氏から協議会のパンフレットをもとに説明された。その後、解決を迫られている課題について、具体的な話がなされた。

 私が理解したポイントは2つ。燃料電池の技術を向上させることと、水素を利用しやすくするための法律を整備することだ。自動車エンジニアとして活躍してこられた赤松氏は、夢を実現するには具体的にひとつひとつの技術課題について答を作り出さなければならないことを話した。それは、例えば高分子膜に付着させている白金の微粒子が、今は2粒3粒が重なったりくっついたりしているのを、均一に1粒ずつ分布するようにできないと、コストも下がらず、性能も上がらない、というようなことだ。燃料電池は新しいテーマが多くて、どの分野をとってみてもそのような状況にあり、決して楽観できるものではないことが分かった。

 さらに、日本では水素の法体系が非常に厳しく作られており、諸外国に比べて検討する課題が多い。協議会では、どの法律のどこをどう直せばいいのか、という案を作っているが、それを裏付けるものとして実証試験によるデータが必要だ。大臣認証を取って白ナンバーを持っている燃料電池自動車は今のところ、トヨタとホンダにしかなく、合わせても10台に満たない。今年、東京と横浜周辺に水素スタンドが建設されていくが、そこを使ってナンバーを持った燃料電池自動車が市街地を走り、データを集めなければならないのだ。そういう手順を経て法律改正がなされ、それから初めて燃料電池自動車が走れるようになる。まだまだいろんな努力が必要だ。

 私たちが強い関心を持っている燃料電池自動車について、公道走行が始まったら乗れますか、と聞いてみたら、「乗れません」と答えられてしまった。そうすると、シカゴやバンクーバーで走った燃料電池バスに市民が乗れたのは法律の違いによるものだろうか。ぜひとも調べてみたいものである。

 赤松氏は多分、トップ情報をたくさん持っておられるだろうという邪推の元に、2次会では彼に対していろいろなチャレンジがなされたようだが、そのくらいで喋ってしまうようでは彼の仕事はできないだろうし、また、礼儀としてお互いの立場を尊重しながらつきあわないと長続きしないだろう。この市民講座は、勉強と情報交換、そして人的ネットワークを強めていくことが目的なので、企業の看板を背負って参加される方もたくさんいらっしゃる。踏み込んでいい部分といけないところをわきまえて、長続きさせたいと思っている。もちろん、個人的にラッキーな目に会うのは自由だが・
・・。

■燃料電池マイレポート(新規)
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「レスター・ブラウン氏講演会&エコ・ネットワーキングの会」 枝廣淳子さんのEnviro-News より
 燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

■イベント紹介
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●国立環境研究所公開シンポジウム2002(新規)
○日 時 6月19日(水)10:00〜16:35
○場 所 メルパルクホール(東京都港区芝公園2-5-20)
○主 催 独立行政法人 国立環境研究所
○参加費 無料
○メインテーマ 「環境 温故知新 −地球環境の履歴から将来を考える−」
○プログラム

 10:00―10:30 開会挨拶 「繰返すべきこと、繰返してはならぬこと」 理事長 合志陽一

 10:30―12:30 第1セッション 「地球環境の古きをたずねて」 司会:彼谷邦光

  「バイカル湖 ―地球環境変動の歴史を映す魔鏡―」 高松武次郎

  「樹木が語る地球環境汚染史 ―数百年を生きた巨木の証言―」 佐竹研一

  「年代を測る ―過去の環境変化の記録を求めて―」 柴田康行
 12:30―14:30 ポスターセッション

 14:30―16:30 第2セッション 「人間社会の未来を拓く」 司会:森田恒幸

  「国際的水環境の修復 ―バイオ・エコエンジニアリングという技術―」 稲森悠平

  「中国における大気汚染による健康影響 ―日本の経験をどう活かすか―」 田村憲治

  「現代文明最大のジレンマ ―環境と経済の両立―」 増井利彦
 16:30―16:35 閉会挨拶
○お申込方法(参加には事前のお申し込みが必要です)

 参加ご希望の方は、住所(ご自宅か勤務先かの区別)、氏名、年齢、職業、TEL/FAX、E-mailアドレスを明記の上、下記事務局宛にお申し込み下さい。後日「申込受付完了ハガキ」をお送り致しますので、シンポジウム当日に受付までお持ち下さい。なお、会場の都合により、定員数を超えるお申込みについてお断りさせて頂く場合もございますので、予めご了承下さい。
○お問い合わせ先
 社団法人 国際環境研究協会 公開シンポジウム事務局
 〒105-0011 東京都港区芝公園3-1-13

 TEL:03-3432-1844  FAX:03-3432-1975  E-mail:sympo@airies.or.jp*尚、国立環境研究所公開シンポジウム2002の開催について、すでにほかの媒体でお知りになり

 お申し込みいただいた場合は、このご案内による、再度のお申し込みの必要はございません。
●「燃料電池市民講座」(6月8日)

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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

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■世界のニュース〈5月)
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<定置型電源>
●世界初、燃料電池・ガスのハイブリッドタービンの運用

 世界初の燃料電池・ガスのハイブリッドタービン・パワープラントが、カリフォルニア州アーバインにある国立燃料電池調査研究所で現在運用されている。

 このシステムはシーメンス・ウェスティングハウス社の固体酸化物形燃料電池とインガーソル・ランド社のマイクロタービンを組み合わせているのが特徴で、およそ190kWの電力を供給している。初期のテスト結果では電気効率はおよそ53%で、これは天然ガス利用の燃料電池システムの中では世界新記録に匹敵すると見られる。更なる技術開発を行うことで、最終的にはより小型化して電気効率も60%に、またはより大型化した場合は70%に向上できるだろう。

<携帯電源>
●フラウンホファーが燃料電池をノート型パソコンに集約

 フラウンホファー・インスティテュート・フォー・ソーラー・エナジー・システムズは、ノート型パソコンに燃料電池システムを完璧に集約したと発表した。このシステムの全貌としては、小型燃料電池、水素タンクと電子部品から構成されていて、これらが今までバッテリーが内蔵されていて部分に埋め込まれている。

●ジーテックが新しい水素抽出方法を紹介

 ジーテックは、天然ガス同様に普通の無鉛ガソリンから水素を抽出する事に成功し、革新的な抽出方法として紹介した。この方法だと燃料から85%の潜在的エネルギーを取り出すことができ、コンポーネント用に高価な金属を使う必要も無く、コストを大幅に削減できる。

●クアンタムとヒョンデ(現代)がMOUに調印

 クアンタム・テクノロジーズ・ワールドワイドはヒョンデ(現代)・モーター・カンパニーと、燃料電池自動車(FCVs)や燃料変換型自動車の共同開発に関する合意規約(MOU)に調印した。ヒョンデとクアンタム両社は、水素と他の燃料との変換型の最新のヒョンデの自動車の開発と販売を行う。加えてクアンタムは、最新の燃料貯蔵と配送技術を提供する。

●アーゴンが新しい皮膜を開発

 アーゴンのエネルギー技術部署は、メタンから水素を抽出できるセラミック製膜を開発した。この膜は高価な精製装置が不要で、小型かつ効率性も優れており、ガスステーションでの利用も可能である。

●UOPとズードケミーが燃料加工会社を設立

 UOPとズードケミー株式会社は、新会社「ハイラディックス」を設立し、定置型燃料電池向けの燃料加工を行う。このハイラディックス水素発生システムは、家庭向けと小売市場で固体高分子膜(PEM)型燃料電池を利用することで、天然ガスから水素への転換を目的として設立された。また、ハイラディックスはこの技術を応用して、ステーション施設での製造・燃料向けに高純度の水素を最高で毎時500立方メートル供給する。

<燃料電池コンポーネント>
●バラードがガス拡散層の商業化有効性を発表

 バラード・パワーシステムズ社の原料製造部署は、優良ガス拡散特性を持つAvCarb? P50Tカーボン繊維を開発した。拡散層はPEM型燃料電池の中心部にある皮膜に、水素や空気を拡散させると同時に、電気伝導性にも優れている。

●ダイネテック・ヨーロッパがシリンダー認可を受ける

 GM傘下のダイネテック・ヨーロッパの子会社であるダイネテック・インダストリーズは、圧縮天然ガス(CNG)と水素の屋外型貯蔵用のシリンダー2タイプの製造・販売に関する最初の認可を受けた。製造工場は、バス・トラック・自動車部品用のシリンダーの製造・販売に関してTUVジャーマンの認可を受けており、ヨーロッパ市場での証明となる。

●デュポンが皮膜電極組み立てをオファー

 デュポン・フュエル・セルズは、ナフィオン膜以外にも皮膜電極組み立て(MEAs)などのような燃料電池コンポーネンツを含む製造ラインへの拡大を行う。現在、MEAsは極秘に合意文書を交わした会社のみが使用できる。ナフィオン膜とMEAsは、燃料電池スタック製造に使用されている。デュポンは50%以上の燃料電池スタックに自社製品が使われると見込んでいる。

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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