山本寛『水素経済革命』(新泉社)には、温室効果ガスを出さず、広い負荷範囲で既存のエンジンに比べて効率の良い燃料電池は非の打ち所がなく、近い将来水素経済社会へ移行するのは間違いないと楽観的である。他方、ジョセフ・J・ローム(本間琢也・西村晃尚訳)『水素は石油に代われるか』(オーム社)では、燃料電池の効率がよくても、水素を製造、貯蔵する過程などを併せて総合的に考えれば化石資源を用いた場合と比べてメリットが小さく、現状でインフラが未整備であるといったことから、暫くはバイオマス由来の代替燃料利用が主流だろうとしている。