宮城 大蔵「「海洋国家」日本の戦後史」

     

評価・状態: 得られるものがあった本★★☆

宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008)


購入: 2008/ 7/12
読了: 2008/ 7/26

今週の本棚:五百旗頭真・評 『「海洋国家」 日本の戦後史』=宮城大蔵・著 - 毎日jp(毎日新聞)

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インドネシア

記事ページ 発行: 2008年07月26日

「海域アジアの「要」」(宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008) p.68.)

インドネシア - Wikipedia

人口: 2億4千万人 (2004年)

GDP(MER): 364.379 十億USドル (2006, IMF)

日本の 8.3%、アメリカ合衆国の 2.8%。

参考
日本: 4,377.053 十億USドル (2006, IMF)
アメリカ合衆国 : 13,194.700 十億USドル (2006, IMF)

Report for Selected Countries and Subjects

 

国家の成立条件を達成する難しさ

記事ページ 発行: 2009年02月26日

[意見]

国家の三要素とは、領域・人民・権力であるが、これらをすべて満たすことは難しい。

 * 領域(Staatsgebiet:領土、領水、領空)

   領域を保持するための(広義の)防衛力(:スマートパワー)を有しているか。

 * 人民(Staatsvolk:国民、住民)

   持続的に人口を保持できるか。内乱が起こらない人口構成か。

* 権力(Staatsgewalt)ないし主権

   元首を人民が元首として認識するか。
発想の元:
宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008) pp.99-100.

>イギリスのマレーシア構想について見ておこう。イギリスは、自らが東南アジアで非公式帝国として影響力を保持する上で鍵となるのは、一大軍事拠点であるシンガポールの安定的確保だと考えた。ここにイギリスが軍事力を維持することを、ベトナム情勢に苦慮するアメリカは強く望んだし、またイギリス自身にとっても、オーストラリア、ニュージーランドへの影響力を維持する上で重要であった。...

 ところが、そのシンガポールは不安定であった。人口の大半を占める中国系労働者の間では、中国本土への帰属意識と共産主義への支持を結びつける左派勢力が影響力を広げていた。これがリー・クアンユー首相をはじめとする少数の親英派エリートから権力を奪取すれば、シンガポールは一気に左翼政権が支配する「東半球のキューバ」と化することも十分に予想されたのである。

 そのような事態を防ぐためシンガポールを、反共を鮮明にしているマラヤ連邦に組み入れることが検討された。だが問題はマレー系五割、中国系四割弱と微妙な人口バランスを保つマラヤに中国系中心のシンガポールを編入すると、新国家では人口比率で中国系がマレー系を逆転してしまうことであった。そこでサバ、サラワクなどボルネオ北部も組み入れることによってマレー系優位の人口バランスを保つことが構想されたのである。このマレーシア構想は、一九六一年五月、マラヤ連邦のラーマン首相によって公にされた。


 

日本外交を整理する

記事ページ 発行: 2009年11月12日

「東アジア共同体」という言葉が取り上げられていることを機会に、これまでの日本外交を整理してみたい。

日本外交における主な登場"民族"は、アングロ・サクソン、スラブ、漢民族である。

● アングロ・サクソン

 中心国: アメリカ合衆国
 中心国の人口: 3億人
 世界覇権: 19世紀以来、覇権を保有している(ベルサイユ前は英国、ベルサイユ以降は米国)
 主導する国家連合: 北大西洋条約機構
 日本との近さ: 文明的に近い (梅棹 忠夫「文明の生態史観」 )

● スラブ

 中心国: ロシア連邦
 中心国の人口: 1億4千万人
 世界覇権: 冷戦期に覇権保有経験がある。
 主導する国家連合: 独立国家共同体集団安全保障条約機構
 日本との近さ: シベリアを通じ、地理的に近い。

● 漢民族

 中心国: 中華人民共和国
 中心国の人口: 14億人
 世界覇権: 歴史的に覇権保有経験がある。覇権志向は強い。
 主導する国家連合: 上海協力機構
 日本との近さ: 地理的に近い。


次に、外交政策について記す。なお[]内は参考文献である。

● 日韓併合・中国東北部権益

 対ロシア(スラブ)=「朝鮮半島における敵対勢力の阻止は近代日本の「国是」」[新脱亜論, p.282]
 [2009/11/14追記] 日英同盟(アングロ・サクソン)の後ろ盾

● 満州国

 資源 [最終戦争論, p.106]
 対ソ連(スラブ+共産主義)
 空白域
 農地(人口の再配分)
 モデルケース

● 大東亜共栄圏

 資源
 東亜の欧米からの独立(対アングロ・サクソン)――「近代の超克」:欧米の帝国主義による世界秩序の打破 [近代の超克, p.136])
 支那事変(別称: 日華事変、日中戦争)(進展する日本による帝国主義の現実)を東亜解放(八紘一宇の理想)の一貫だと再定義する[近代の超克, p.133]
 経度方向の世界分割――日本中心の汎アジア(ハウスフォーファーのパン・リージョン理論) [戦争学概論 p.44]

● 開発外交(東南アジアとの外交)

 資源
 「経済的地平の拡大」[海洋国家, p.178]
 「脱植民地化によって生じた空白」[海洋国家, p.93]
 米(アングロ・サクソン)による日中引きはがし(資源を中共に頼らないように)。後に東南アジアの中共による共産化の防止。[海洋国家, p.59, 178]

● 自由と繁栄の弧

 リムランド
 冷戦期の「危機の弧」地域 [とてつもない日本, p.161] (冷戦後の空白域?)

■ 文献

本文では略称([]内に示す)を記した。

[新脱亜論]
渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008)

[最終戦争論]
石原 莞爾 : 最終戦争論 (中公文庫, 2001)

[近代の超克]
子安 宣邦 : 「近代の超克」とは何か (青土社, 2008)

[戦争学概論]
黒野 耐 : 「戦争学」概論 (講談社現代新書, 2005)

[海洋国家]
宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008)

[とてつもない日本]
麻生 太郎 : とてつもない日本 (新潮新書, 2007)

関連:
アングロ・サクソンかスラブか
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-2789.html

中国は「東亜リムランド」における覇権を狙っているのではないか
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/inw_0710210.html#4

 

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