ジェームス W.ヤング「アイデアのつくり方」

     

評価・状態: 得られるものがあった本★★☆


購入: 2007/12/18
読了: 2008/ 1/ 1

関連:
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志ある者が知っておくべきこと――高度の平凡性 --- 中庸の道を選ぶ

記事ページ

 

鉄道会社に就職する人へのおすすめ本

記事ページ 発行: 2008年03月20日

ある人から来たメールの返答として、鉄道会社に就職する人へのおすすめ本を書いてみる。

なお、私は、鉄道業界関係者ではない。鉄道ファンの一人である。比較的広い視野で鉄道をとらえていると自負している。


● 安全第一。

山之内 秀一郎「なぜ起こる鉄道事故」


前述のとおり、私は鉄道業界関係者ではないのだが、就職活動の際に何社か鉄道会社の採用選考を受けている。JR貨物の採用1次試験(合格)の作文で、「鉄道貨物輸送の利点のひとつは、その安全性だ」という内容の文章を書いた。

その論を今、発展させ、言語化する。商業輸送というのは、必要とされる場所に、必要とされる財を配置することによって、価値を上げる(:社会の生産性をあげる)行為なのだが、それ自身は生産行為ではない(無から有を生じさせる行為ではない)。

事故が、時間のロスや物品の損失にとどまるならば、それは、輸送行為によって高められた生産性と相殺可能かもしれない。しかし、人が怪我したり、死亡したりすれば、生産行為可能なものをある期間あるいは永久に減じめることになり、それは、生産性を向上させた成果では相殺できない。

現在の鉄道は統計的な見方をしても事故がほとんど起こらないので、鉄道事故に関する実感を養うのは難しい。阪神大震災前の関西人が、地震に対して備えなかったどころか地震そのものを全く考えていなかったようにである。

鉄道事故に関して、知識を備える必要がある。

「なぜ起こる鉄道事故」には、過去の事故が、鉄道発展の歴史とともに紹介されており、現在の鉄道の安全対策の起源がわかる。


● 最新の鉄道技術を知る。

月刊誌「鉄道ジャーナル」
「鉄道ジャーナル」公式

鉄道技術とは車両の機械・電気技術にとどまらず、列車の運行技術などを含む。月刊誌「鉄道ジャーナル」がよい。カラー面が多く、写真が多用されており(紙も高品質である)、鉄道ファンでなくても「こんな世界があったのか」*と楽しめる。読んでいく中で、気になったところを深く調べればよいであろう。

* 「こんな世界があったのか」というのは、大学院時代に研究室でいわれた言葉。研究室の雑誌置き場に「鉄道ジャーナル」を置いていた。


● 鉄道に関わる行為は「組み合わせ」である。

ジェームス W.ヤング「アイデアのつくり方」


鉄道の現業に関わらない場合、自社路線を活用させる仕事、つまり鉄道を利用する仕事をすることになると思う。

鉄道を利用するとは、鉄道と鉄道、あるいは鉄道と他の何かを組み合わせる行為である。「組み合わせ」の行為こそ「アイデア」にあたるのだと知る上で、本書は有益である。

関連:
鉄道は、行為として、知的で文化系である


● 就職先の会社の直近の過去を知る。

インターネットの利用が便利

会社の設立経緯や名経営者に関して知っておくのは損ではないが、すぐさま役立つものではない。必要なときに調べればよいし、調べるのは比較的容易である。それよりも、ここ10年ぐらいの、その会社の方針・施策・事件について知ることが役立つと思う。

入社したときに、上の人たちはその知識を前提として話をしているだろう。新入社員に対しては簡単な説明をつけてくれるだろうが、上の人同士では当然説明なしで話がされる。もし、その知識をもっていれば、上の人同士の話を理解でき、血肉にできるのだ。

このような直近10年ぐらいの、特定鉄道会社の方針・施策・事件を知るにはどうしたらよいか。「直近10年ぐらい」という点において、書籍は不向きである。「特定鉄道会社の」という点で、雑誌で調べるのは骨が折れる。ある程度の期間のバックナンバーを探し、その中から目当ての鉄道会社の記事を探さねばならない。

インターネットの利用が便利である。沿線には、その鉄道会社を観測し、ネットに情報を蓄積している人がいるものである。なお、「○○駅に特急を止めろ」などの沿線民エゴに、耳を貸す必要はない。

手前みそだが、みんちかりぶ [図書館] 〜関西民鉄・地下鉄のニュースアーカイブ〜では、関西私鉄の 2001年3月〜2003年 6月におけるニュースをほぼ網羅している。

 

支持を得るには

記事ページ 発行: 2008年10月22日

保守的な事柄の支持を得るには、人々に、人々がその事柄の決定に対し資源を費やすべきではない、ということを教えればよい。

革命的な事柄の支持を得るには、人々に、人々がその事柄の決定にこそ資源を費やすべきだ、ということを教えればよい。

 発想の源:
 ジェームス W. ヤング=著, 今井 茂雄=訳 : アイデアのつくり方 (阪急コミュニケーションズ, 1988) pp.80-82 竹内 均氏による解説内.

> 話が少し横へそれるけれども、昔から中庸が美徳とされ、紀元前五世紀前後の聖人である釈尊も孔子もそれを力説された。中庸を中年のずるい処世術ど考えていた若いころの私には、そこのところがいまひとつ理解できなかった。中庸が美徳であるこどをはっきりと私に教えてくれたのは、くりかえし述べたデカルトの「方法序説」である。

 デカルトによれば、人々はそれぞれの人生の大目標をもっており、その実現に全力をそそいでいる。しかしその一方で、人々は日常的な生活を生きなければならない。この場合に、その日常的なことがらの一つ一つについて熟考するのは面倒なことであり、頭脳と時間の浪費でもある。こういう場合には、最も常識的で最も穏健な意見にしたがうのがよい。どうでもよいことについては中庸の道を選ぶことによって、われわれは自分自身の人生の大目標に全力を集中しえる。このように考えると、中庸はいい加減な人生を生きる中年の処世術といったものではなくて、積極的な徳目である。



関連:
「大学・中庸」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1328.html

 

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