谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「ところで浜田君、僕は聞きたいことがあるん…

OpenAIのAI「GPT-4o」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「ところで、浜田くん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ナオミにひどいあだ名がついてるって聞いたけど、どんなあだ名なの?」
「いや、それは言えないよ。本当にひどいんだから」
「ひどくてもいいよ。もうあの子とは完全に他人なんだし、気にしなくていいからさ。何て呼ばれてるのか教えてよ。逆にそれ聞いた方がスッキリするんだよね」
「君がそう思うのは分かるけど、僕にはちょっと言えないんだ。とにかくすごくひどいあだ名だって思って、想像してみてよ。まあ、どうしてそんなあだ名がついたか、その理由だけなら話してもいいけど」
「じゃあ、その理由を教えてよ」
「うーん、河合さん、それでも困るなあ…」
「だって、本当にひどいんだよ。聞いたら絶対気分悪くなると思うけど」
「いいよ、全然気にしないから、言ってくれない?今はただの好奇心で、彼女の秘密を知りたいんだよ」
「じゃあ、少しだけ秘密を教えようかな。ねえ、河合さん、あなたこの夏、鎌倉にいた時、ナオミに何人の男がいたと思う?」
「うーん、僕が知ってる限りでは、君と熊谷だけだけど…他にもいたの?」
「河合さん、驚かないでね。実は関も中村も、その一人だったんだよ」

原文 (会話文抽出)

「ところで浜田君、僕は聞きたいことがあるんだ」
「ヒドイ仇名がナオミに附いていると云うのは、一体どんな仇名ですか?」
「いや、そりゃ云えません、そりゃあとてもヒドイんですから」
「ヒドクったって構わんじゃありませんか。もうあの女は僕とはあかの他人だから、遠慮することはないじゃないですか。え、何と云うんだか教えて下さいよ。却ってそいつを聞かされた方が、僕は気持がサッパリするんだ」
「あなたはそうかも知れませんが、僕には到底、云うに堪えないことなんだから堪忍して下さい。とにかくヒドイ仇名だと思って、想像なすったら分るんですよ。尤もそう云う仇名が附いた、由来だけならお話してもよござんすがね」
「じゃあその由来を聞かして下さい」
「しかし河合さん、………困っちゃったなあ」
「それも随分ヒドイんですよ、お聞きになったらいくら何でも、きっと気持を悪くしますよ」
「いいです、いいです、構わないから云って下さい! 僕は今じゃ純然たる好奇心から、あの女の秘密を知りたいんです」
「じゃあその秘密を少々ばかり云いましょうか、―――あなたは一体、この夏鎌倉にいらしった時分、ナオミさんに幾人男があったと思います?」
「さあ、僕の知っている限りでは、君と熊谷だけだけれど、まだその外にもあったんですか?」
「河合さん、あなた驚いちゃいけませんよ、―――関も中村もそうだったんですよ」


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