谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「じゃあ何ですか、大勢一緒じゃないんですか…

OpenAIのAI「GPT-4o」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「えっ、じゃあ、みんなで一緒じゃなかったの?」
「はい、その時はお二人だけで、今日はホテルで昼間にダンスがあるって言って、出かけられたんですけど…」
「で、それから?」
「それから夕方、みんなで帰ってこられました」
「晩ごはんは、全員で家で食べたの?」
「はい、なんだかすごく賑やかで…」
「ご飯食べてからまた出かけたのは、何時くらいだった?」
「そうですね、あれは8時ごろだったと思いますけど…」
「じゃあ、もう2時間も経ってるんだね」
「もしかして、ホテルにいるのかな? 何か聞いてない?」
「詳しくはわかりませんけど、たぶん別荘の方かと…」
「ああ、別荘に行ったのね。それじゃ迎えに行こうと思うんだけど、どの辺にあるか知ってる?」
「あの、すぐそこの長谷の海岸沿いにあるんですけど…」
「へぇ、長谷か。僕は確か扇ヶ谷だって聞いてたんだけど…えっと、今夜もここに来たかわからないけど、ナオミの友達の、関って男の叔父さんの別荘なんだけど…」
「その別荘とは違うんでしょうか?」
「うーん、どうだろう…」
「長谷の海岸沿いにあるのって、誰の別荘?」
「えっと、熊谷さんのご親戚の…」
「熊谷君の?」

原文 (会話文抽出)

「じゃあ何ですか、大勢一緒じゃないんですか!」
「はあ、その時はお二人ぎりで、今日はホテルに昼間のダンスがあるからと仰っしゃって、お出かけになったんでございますが、………」
「それから?」
「それから夕方、大勢さんで戻っていらっしゃいました」
「晩の御膳は、みんなで内でたべたんですかね?」
「はあ、何ですか大そうお賑やかに、………」
「晩飯を食ってから又出かけたのは、何時頃でしたろうか?」
「さあ、あれは、八時時分でございましたでしょうか、………」
「じゃ、もう二時間にもなるんだ」
「するとホテルにでも居るのかしら? 何かおかみさんは、お聞きになっちゃいませんかしら?」
「よくは存じませんけれど、御別荘の方じゃございますまいか、………」
「ああ別荘へ行ったんですか。それじゃこれから僕は迎いに行って来ますが、どの辺にあるか、おかみさんは御存知ありますまいか?」
「あの、直きそこの、長谷の海岸でございますが、………」
「へえ、長谷ですか? 僕はたしか扇ヶ谷だと聞いてたんですが、………あの、何ですよ、僕の云うのは、今夜も此処へ来たかどうだか知らないけれど、ナオミのお友達の、関と云う男の叔父さんの別荘なんだが、………」
「その別荘と違うんでしょうか?………」
「はあ、………あの、………」
「長谷の海岸にあると云うのは、一体誰の別荘なんです?」
「あの、―――熊谷さんの御親戚の、………」
「熊谷君の?………」


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