OpenAIのAI「GPT-4o」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』
現代語化
「今日はこっちも一人だからさ」
「いくらあたしがわがままだって、良いことと悪いことの区別くらい分かるってば。譲治さんを騙そうと思えばできるかもしれないけど、絶対そんなことしないよ。ほんとに正々堂々としてるし、譲治さんに隠したことなんて何一つないよ」
「それは俺も分かってるんだよ。ただ、あんなこと言われたのがちょっと気分悪かっただけなんだ」
「気分悪かったらどうするの? もうダンスやめるとか言うの?」
「いや、やめなくていいけど、できるだけ誤解されないように気をつけた方がいいってことだよ」
「あたし、さっきも言ったけど、ちゃんと気をつけて付き合ってるじゃん」
「だから、俺は誤解してるわけじゃないんだよ」
「譲治さんが誤解してないなら、世間の人たちが何言おうと怖くないよ。どうせあたしは乱暴で口悪いし、みんなに嫌われてるんだからさ」
原文 (会話文抽出)
「それにあたしは、譲治さんより外の男と二人ッきりで居たことなんか一度もないのよ。―――ねえ、そうじゃなくって?」
「今日は此方も一人だから」
「あたしがいくら我が儘だって、いいことと悪いことぐらいは分っているわよ。そりゃ譲治さんを欺そうと思えば欺せるけれど、あたし決してそんな事はしやしないわ。ほんとに公明正大よ、何一つとして譲治さんに隠したことなんかありゃしないのよ」
「それは僕だって分っているんだよ、ただあんな事を云われたのが、気持が悪かったと云うだけなんだよ」
「悪かったら、どうするって云うの? もうダンスなんか止めるって云うの?」
「止めなくってもいいけれど、成るべく誤解されないように、用心した方がいいと云うのさ」
「あたし、今も云うように用心して附き合っているじゃないの」
「だから、僕は誤解していやあしないよ」
「譲治さんさえ誤解していなけりゃ、世間の奴等が何て云おうと、恐くはないわ。どうせあたしは、乱暴で口が悪くって、みんなに憎まれるんだから。―――」