谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「それでお前は、ダンスをやるって云ったのか…

OpenAIのAI「GPT-4o」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「それで、ダンスやるって言ったの?」
「うーん、考えとくって言っといたけど…」
「ねぇ、やっちゃダメ? ねぇ、お願いだからやらせてよ! 譲治さんもクラブ入って、一緒に習えばいいじゃん」
「俺もクラブ入れるの?」
「うん、誰でも入れるよ。伊皿子の杉崎先生が知ってるロシア人が教えてくれるんだって。なんかシベリアから逃げてきたらしくて、お金なくて困ってるから、その人助けたいってことでクラブ作ったんだって。だから弟子が多い方がいいみたい。ねぇ、お願い、やらせてよ!」
「君はいいけど、俺が覚えられるかなぁ」
「大丈夫だって、すぐに覚えられるよ!」
「でも、俺、音楽の素養とか全然ないんだよね…」
「音楽なんて、やってるうちに自然に分かるようになるって!ねぇ、譲治さんもやらないとダメだよ。あたし一人じゃ踊りに行けないもん。ねぇ、一緒にダンス行こうよ。毎日家で遊んでばっかりじゃつまんないでしょ?」

原文 (会話文抽出)

「それでお前は、ダンスをやるって云ったのかい」
「考えて置くって云っといたんだけれど、………」
「ねえ、やっちゃいけない? よう! やらしてよう! 譲治さんも倶楽部へ這入って、一緒に習えばいいじゃないの」
「僕も倶楽部へ這入れるのかい?」
「ええ、誰だって這入れるわ。伊皿子の杉崎先生の知っている露西亜人が教えるのよ。何でも西比利亜から逃げて来たんで、お金がなくって困ってるもんだから、それを助けてやりたいと云うんで倶楽部を拵えたんですって。だから一人でもお弟子の多い方がいいのよ。―――ねえ、やらせてよう!」
「お前はいいが、僕が覚えられるかなア」
「大丈夫よ、直きに覚えられるわよ」
「だけど、僕には音楽の素養がないからなア」
「音楽なんか、やってるうちに自然と分るようになるわよ。………ねえ、譲治さんもやらなきゃ駄目。あたし一人でやったって踊りに行けやしないもの。よう、そうして時々二人でダンスに行こうじゃないの。毎日々々内で遊んでばかりいたってつまりゃしないわ」


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