GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「いいえ、そうは言わせません。店で良次郎を隠しているんです。私はちゃんと知ってます。お嬢さんと駆け落ちをしたなんて、嘘です、嘘に決まってます。良次郎は主人の娘をそそのかして淫乱をするような、そんな不心得な人間じゃありません。ここにいるお山は本当の妹じゃありません。もう1、2年経つと良次郎と一緒になる約束なんです。そんな相手がいるのに、そんな不埒なことをするような良次郎じゃないんです。それに、あんな親孝行の良次郎が親を置いてどこか姿を隠すはずがありません。あなたの方が隠してるんです。さあ、どこにいるか教えてください」
「ちょっと待って。確かにそういうことがあるかもしれませんが、私は全然知らないんです。店から頼まれて、ただ正直に出てきただけのことなんです。それで、良次郎さんは本当にここにいませんか?」
「いませんよ……」
「自分たちでどこか隠しておきながら、しらばくれて探しに寄越すなんて、人を馬鹿にしてます。いいえ、こっちには確かな証拠があります。見せてあげるから待ちなさい」
原文 (会話文抽出)
「おかみさん、飛んでもねえことを……。ここの家で知らないで、誰が知っているもんですか」
「いいえ、そうは云わせません。店で良次郎をどこへか隠しているんです。わたしはちゃんと知っています。お嬢さんと駈け落ちをしたなんて、嘘です、嘘に相違ありません。良次郎は御主人の娘をそそのかして淫奔をするような、そんな不心得な人間じゃありません。ここにいるお山はほんとうの妹じゃありません。もう一、二年経つと彼と一緒にする筈になっているんです。そういう者がありながら、そんな不埒なことをするような良次郎じゃございません。第一あんな親孝行の良次郎が親を打っちゃって置いて、どこへか姿をかくす筈がありません。おまえさんの方で隠しているんです。さあ、どこにいるか教えてください」
「まあ、待ってください。成程そんなことがあるかも知れませんが、私はまったく知らないんです。店の方から云い付けられて、ただ正直に出て来ただけのことなんです。じゃあ、良次郎さんはまったくこちらには居ないんですか」
「いませんとも……」
「自分の方でどこへか隠して置きながら、白ばっくれて探しによこすなんて、あんまり人を馬鹿にしている。いいえ、こっちには確かな証拠があります。見せてあげるからお待ちなさい」