岡本綺堂 『半七捕物帳』 「ただいま亀さんのお話をうかがいましたら、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「さっきカメさんに話を聞いたら、私になにか用事があるそうですけど……」
「なあに、用ってほど難しいことじゃねえよ……。カメ吉がどんなことを言って脅したのか知らないけど、実は大したことじゃないんだ。わざわざ来てもらうほどのことでもないんだが、そういえばお前さん、この頃猫の子供どうした?」
「へえ」
「それを何か調べようとしてるんですか?」
「いや、別に調べるってほど大それたことじゃない。ただ自分の知っておきたいことが少しあるから聞いておきたいんだ」
「へえ」
「そんなこと嘘だろ」
「何かのお間違いで……。私は何も知りません」
「おいおい、何言ってんだ。お前が大の猫を逃がしてしまって、めちゃくちゃ愚痴ってたってことは仲間から聞いてるんだ。隠すんじゃねえ。そうしないと、私が親分に嘘をついたことになる。よく考えて答えてくれよ」
「でも、私は何も知りませんので」

原文 (会話文抽出)

「ただいま亀さんのお話をうかがいましたら、何かわたくしに御用がありますそうで……」
「なに、用というほどのむずかしいことじゃあねえので……。亀吉はどんなことを云って嚇かしたか知らねえが、実はほんの詰まらねえことで、わざわざ来て貰うほどのことでもなかった。ほかじゃあねえが、おまえさんは此の頃に猫の児をどうかしなすったかえ」
「へえ」
「それを何か御詮議になるんでございますか」
「いや、別に詮議というほどの角張ったことじゃねえ。ただわたしの心得のために少し訊いて置きたいことがあるのだ」
「へえ」
「そんなことは嘘かえ」
「なにかのお間違いで……。わたくしは一向に存じません」
「おい、おい。なにを云うんだ。おまえが大事の猫を逃がしたと云って、さんざん愚痴をこぼしていたということは、仲間の者から聞いて知っているんだ。隠しちゃあいけねえ。さもねえと、おれが親分に嘘をついたことになる。よく後先をかんがえて返事をしてくれ」
「でも、わたくしはなんにも知りませんのでございますから」


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