岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おかみさんはいるかえ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「おかみさんいますか?」
「おかみさんは鬼子母神にお参りに行きました」
「いらっしゃい。急に暑くなりましたね」
「急ぎですが、私は神明前のさつきさんから紹介されて来たんですが……」
「はい」
「さつきの娘のお浜さんがここに来ていますよね?」
「いいえ」
「芝口の三甚の若親分が来ていますよね?」
「いいえ」
「隠さないでください。神明前のお力さんから頼まれて、確かにこの家に預けてあるはずですが……。隠さずに教えてください」
「あなたの名前は?」
「私は神田三河町の半七という者です」
「わざわざですけど、預かってる人はいません」
「ここは白井屋ですよね?」
「はい」
「さつきの親戚ですよね?」
「はい」
「娘も三甚もここには来ていないんですか?」
「はい」
「困ったな」
「私も三甚と同じ仕事で、お上の仕事を手伝ってる者です。三甚に少し話したいことがあって来たんです。早く会わせてください」
「私が身分を明かしても、あなたは隠そうとするんですか。私がわざわざここまで来た以上、あなたたちにだまされて素直に帰るつもりはありません。家捜しをしてでも三甚に会いますよ、覚悟してください」

原文 (会話文抽出)

「おかみさんはいるかえ」
「おかみさんは鬼子母神さまへお詣りに行きました」
「いらっしゃいまし。俄か天気でお暑くなりました」
「早速だが、わたしは神明前のさつきから教えられて来たのだが……」
「はい」
「こっちにさつきの娘のお浜さんが来ているだろうね」
「いいえ」
「芝口の三甚の若親分が来ているだろうね」
「いいえ」
「隠しちゃあいけねえ。神明前のお力さんから頼まれて、確かにここの家にあずかってある筈だが……。隠さねえで、教えておくんなせえ」
「おまえさんのお名前は……」
「わたしは神田三河町の半七という者だ」
「折角でございますが、手前方には誰も預かって居りませんので」
「ここは白井屋だろう」
「左様でございます」
「さつきの親類だろう」
「左様でございます」
「娘も三甚もここへは来ていねえと云うのだね」
「はい」
「いけねえな」
「わたしも三甚と同商売で、お上の御用を聞いている者だ。三甚に少し話したい事があって来たのだから、早く逢わせてくんねえ」
「おれが斯うして身分を明かしても、おめえは飽くまでも隠し立てをするのか。おれもここまでわざわざ踏み出して来た以上、おめえ達に化かされて素直に帰るのじゃねえ。家探しをしても三甚に逢って行くから、そう思ってくれ」


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