GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「ちょっと待て」
「いくら野郎でも、ここで詮議はできねぇ。番屋に連れてけ」
「この親分は三河町の半七さんだ。うちらの親分が留守なんで、今日はこちらに出てきてもらったんだが、うちらの親分よりちょっと手荒いから気をつけろよ。お前の襟にぶら下がってるもんに、親分が勘づいたんだ。さっさと正直に白状しろ。辻番のおっさんも、もう蚊帳から出た頃だろうに、なんでてめぇの体に獣の毛が付いてるんだ?理由を言え」
「お前が着けてるのは熊の毛だな」
「もう面倒だから長々と喋るな。お前が備前屋の娘のお絹を殺したんだろう?金目当てか、恨みか、誘拐か、それを言え」
「こんな状況じゃ何もかも正直に申し上げます。備前屋の娘を殺したのは私じゃありません。どうかご慈悲を願います。嘘だと思われるかも知れませんが、本当なんです」
原文 (会話文抽出)
「なるほど、親分の眼は捷え。さあ、野郎、神妙に申し立てろ」
「まあ、待て」
「なんぼこんな野郎でも往来で詮議もなるめえ。やっぱり自身番へ連れて行け」
「この親分は三河町の半七さんだ。うちの親分が寝ているんで、きょうは名代に出て来てくんなすったんだが、うちの親分より些っと手荒いからそう思え。てめえの襟っ首にぶら下がっているものに、親分の不審がかかっているんだ。さあ、何もかも正直に云ってしまえ。辻番の老爺だって、もうむく犬を抱いて寝る時候じゃあねえのに、なんだって手前のからだに獣物の毛がくっ付いているのか、わけを云え」
「てめえの襟についているのは熊の毛に違げえねえ」
「もう面倒だから長い台詞は云わねえ。てめえは備前屋のお絹という娘を殺したろう。物取りか、遺恨か、拐引か、それを云え」
「こうなれば何もかもありていに申し上げますが、備前屋の娘はわたくしが殺したんじゃございませんから、どうぞ御慈悲を願います。いえ、嘘をつくと思召すかも知れませんが、まったく不思議な話なんです」