岡本綺堂 『半七捕物帳』 「家は焼けたのかえ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「家って焼けたんですか?」
「はっきりとは分かりませんが、火の粉が一面に降ってきたので、慌てて逃げ出しました」
「熊に出くわした娘さんは主人の娘ですか?」
「いえ。1軒隣の備前屋という生薬屋の娘さんです」
「私が人混みの中を逃げてきた途中、ちょうどそこで出くわしたので、前後を考えずに飛び出して、危ない目に遭っちゃいました」
「でも、いいことをしましたよ」
「私が助けたからいいようなものの、あんなきゃしゃな娘が熊に捕まったら。どんな大怪我をするか分かりませんよ。備前屋もさぞかし喜んでくれるでしょう。あの娘って何ていう子ですか?」
「お絹さんといって、備前屋の一人娘です」
「備前屋って老舗ですよね。そこの一人娘を熊から助けてもらったんだから、向こうはいくら感謝しても足りませんよ」<ctrl100>

原文 (会話文抽出)

「家は焼けたのかえ」
「さあ、たしかには判りませんが、なにしろ火の粉が一面にかぶって来たので、あわてて逃げ出してまいりました」
「熊に出っくわした娘は主人の娘かえ」
「いいえ。一軒隔いて隣りの備前屋という生薬屋の娘さんでございます」
「わたくしが人込みのなかを逃げて来る途中、丁度あすこで出合ったもんですから、前後の考えもなしに飛び出して、いやどうもあぶない目に逢いましてございます」
「だが、いいことをした」
「お前だからまあその位のことで済んだが、あんな孱細い娘っ子が荒熊に取っ捉まって見ねえ。どんな大怪我をするか判ったもんじゃあねえ。備前屋も定めて有難がることだろうよ。あの娘はなんという子だえ」
「お絹さんといって、備前屋のひとり娘でございます」
「備前屋は古い暖簾だ。そこのひとり娘が熊に傷られるところを助けて貰ったんだから、向うじゃあどんなに恩に被てもいいわけだ」


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