岡本綺堂 『半七捕物帳』 「お前はここへなにしに来た」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「お前はここで何してるんだ?」
「姉の墓参り……」
「じゃあなんで垣根を飛び越えて来たんだ?」
「お寺の門がもう閉まってたんで」
「ふーん、子供にしてはなかなか利口だな」
「よし、わかった。じゃあこっちへ来い」
「おい、お竹。手を出してみろ」
「はい」
「さあ、嘘はつけないぞ。この塔婆に残ってる薄い泥の跡を見ろ。泥のついた手でこの塔婆をつかん で引き抜いたから、指の跡がちゃんと付いてる。どうも子供の手の跡らしいと思ったら、やっぱりそうだった。お前、毎晩この墓場に来て、塔婆を引き抜いたんだろう。花筒を散らかしたんだろう。さあ、白状しろ。まだそれだけじゃねえ、お前は庄屋の猪番小屋に行って何をした?」
「さあ、素直に言え」
「お前はなぜ墓を荒らしたんだ。いや、まだ他の証拠もある。この5つの墓の周りに小さな足跡がついてることも昼間のうちにちゃんと見ておいたぞ。いくら強情を張っても、墓荒らしはもうお前と決まってるけど、猪番小屋の方はどうか。これも確かに お前だろう。さあ、素直に言え。さもなくば目の見えないおふくろを代官所に引きずってって水牢に叩き込むぞ、いいな?」
「もう仕方ない。お前、覚えたことなら、親分さんの前で正直に言ったほうがいいよ」

原文 (会話文抽出)

「お前はここへなにしに来た」
「姉の墓まいりに……」
「そんならなぜ垣をくぐって来た」
「お寺の御門がもう閉まって居りましたから」
「むむ、子供のくせになかなか利口だな」
「よし、判った。それじゃあこっちへちょいと来い」
「おい、お竹。お前の手を出してみろ」
「はい」
「さあ、悪いことは出来ねえぞ。この塔婆にうすく残っている泥のあとを見ろ。泥のついた手でこの塔婆をつかんで引き抜いたから、指のあとがちゃんと付いている。どうも子供の手の痕らしいと思ったら、案の通りだ。てめえ、毎晩この墓場へ忍んで来て、塔婆を引っこ抜いたろう。花筒を掻っ散らしたろう。さあ、白状しろ。まだそればかりでねえ、てめえは庄屋の猪番小屋へ行って何をした」
「さあ、素直に云え」
「手前はなんの訳で墓あらしをしたんだ。いや、まだほかにも証拠がある。この五人の墓のまわりに小さい足跡が付いていることも昼間のうちにちゃんと見て置いたんだぞ。いくら強情を張っても、墓あらしはもう手前と決まっているが、猪番小屋の方はどうだ。これも確かに手前だろう。さあ、神妙に申し立てろ。さもないと盲目のおふくろを代官所へ引き摺って行って水牢へ叩き込むが、いいか」
「もう仕方がねえ。お前、おぼえのあることなら、親分さんの前で正直に云ってしまう方がよかろうぜ」


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